ストラディバリウス「ダ・ヴィンチ」がオークションにかけられるということだそうでございます。
1714年製のこの楽器はストラディバリ黄金期に作られたもので、1924年、トーシャ・ザイデルというヴァイオリニストによって25,000ドルで購入され、「100万ドルでも手放さない」と本人が語ったほどお気に入りだったのだそうです。
なんでダ・ヴィンチの名前が付けられたかというと「適当」ということになるのかなと思いますが、1923年にパリのディーラーが勝手に名付けたということだそうです。本当かどうかはわかりませんが、ストラド誌にはそう書いてあったぞ。
このディーラー、カレッサ・エ・フランセ(Caressa & Français)は名前をつけるのがお好きだったそうで、1715年のストラドには「ティツィアーノ」、1718年のストラドに「ミケランジェロ」という名前を付けたと。なるほど。売ったろう、という気持ちの裏返しでイタリアの画家の名前を勝手にぶっこんだのだ。罪な人たちだと見ることもできましょう。しかしこうして名前が定着したのだから結果オーライと言ってもよいのでありましょう。
トーシャ・ザイデルはウクライナのオデッサ(!)出身のヴァイオリニスト。アウアーの弟子で、1930年代にアメリカに移住。「オズの魔法使い」でヴァイオリンを担当。つまりオズの魔法使いの虹の彼方に(オーバー・ザ・レインボー)でも鳴っているということです。
うむ、しかしよく聞こえないので、タイスの瞑想曲をどうぞ。
1924年(98年前)の25000ドルって現在の価値で言うとどれぐらいか、インフレ計算機で調べてみますと414,789.47ドルと出ました。4,866万円ぐらいです。
ほんで、1974年にこの楽器はサザビーズでオークションにかけられ、そのときの売却額は34,000ポンドだった。こちらもインフレ計算機に突っ込んでみますと6,277万円と出ました。
やっす!と思ってしまった私はすっかり毒されてしまっているのだ。なんせいまやストラディバリウスは10億円を超すこともありますからね。なお本人が100万ドルでも手放さないぞと言った当時の100万ドルは2022年現在16,591,578.95ドルと出まして、こちらは19億4,656万円ぐらい。