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時には口すらも動員するのである。

最近、著名なアーティストが続々と鬼籍に入られていて、サンティやらフレーニやらがお亡くなりになっている、そんなニュースを目にしてはやんぬるかな、と嘆息しているわけですけれども、我々は若い世代、新しい世代の音楽家にも常に注意を払っています。

新しくて活きのいい音楽家に出会うと、わくわくしちゃう。

今日は5月末に日本にやってくるロマン・キムの話をしようか。ロマンはそもそも名前がすごいなと思うのですが、その名の通りロマンチックでありながらも辛口で、ズドンと酸が効いた日本酒のようにインパクトも絶大だ。見たまえよこの意味不明なグラス姿を。

なんやこれ、色物か?とか思われるかもしれませんが、「色物」という言葉で片付けてしまうのはあまりにももったいない。爆発的にすごい演奏をするんだぜ?あと編曲もすげえんだぜ?試しにYouTubeで聴いてみなよ、おっそろしくワクワクするから!いろんな粒ぞろいのアーティストを見てきましたが、これはぶっ飛んでいる。ギトリスが「自分が見た最高の才能」とかなんとか言ってべた褒めしたというのも納得だぜ。

・・・昨日、都内のあるホールを長年引っ張ってきた方とケタケタ笑いながら話をしていましたが、この仕事に必要なのは、圧倒的にワクワク感だと思うんですよ。なんかわからんけどすごい、とか、「自分の直感がすごいっち言いようよ」(北九州の方の言葉かと思います)、そういう、なんといいますか、背筋にゾワッとくる感覚が芸術には絶対に必要なのだ。右から左へと、ベルトコンベアのように仕事を片付けていく、まあ、こんなもんでええやろ、そういう機械的なんもまあいいのかもしれませんけれど、うわっ、すごいわこれっ、っていうゾワゾワ来る感覚、それが絶対的に必要です。

その、ゾワゾワ感を絶対にくれる若いすげえやつの一人、それがロマンなんですよ。本名はいったいなんなの?って聞いたら、おそらくロマン、そしてキム、って返ってくると思います。ほーさよか。

ロマン・キムの何がすごいのか。そもそも阿呆みたいに指がまわる、というのは最初の条件のひとつですけれど、その次のステップとして、それをただ見せびらかすのではなく、ちゃんとショーマンシップも持っていて、どうやったらお客さんが自分の方を振り向いてくれるのか、そういうことも考えまくっていますよね。音楽的にも説得力あり、実は色物どころか世界中見回しても並ぶもののないレベルではないかというたぐいの才能をビンビン感じるぜ。

いや、すいません私もワンおばちゃんから初めてその名前を聞いたときは、ふーん、はいはい、ぐらいに適当に流してしまっていたんですけどね、実際にあるとき聴いてみるかってYouTubeで聴いてひっくり返ったんだぜ。

ただ弾けるだけならどこにだっているプー太郎になっちゃう。でも思わせぶりな仕草、そして本当に誰にも真似できない底抜けのパフォーマンスをやっちゃう、そんな彼にみんなノックアウトだぜ!イケメンだのどうだのっていう議論はここでは完全に無効なんすよ。すごいやつはそれだけで輝いて見えるんだ。

豊臣秀吉だってサルサルと言われてたではないか。しかしながら天下を統一したのだ。そういうことだ(勢いだけで適当なことを書いて申し訳ありません)。

だから、ロマン・キムが自分で編曲した椿姫のパラフレーズを聴いてほしいんだよ。みなよ、自慢気にニヤニヤ笑いながら弾いているから。それを見てスゲースゲーっていいながら聴いてほしいんだよ。そして最後に口まで動員しているのを見て爆笑してほしいんだよね。はっ?口?くち?

昨夜私はこの動画を見てうっかり大爆笑したため、不安に思った家人が、寝ていたのにも関わらずわざわざ起きてやってきて「何が起こったのか、そこもとは全体、無事であらうか」そんな内容のことを口走るほどに、私は怪しい人間と化していたようだ。

ともかくロマン・キムのチケットを買って下さい。武蔵野市で10年、のべ1000組近くのいろんなアーティストたちを見てきたけど、このロマンはやばいわ。今後この男は、来るね。絶対に損はさせません。東京公演は以下の通り。案外地味な?プログラミングかもしれませんが、アンコールには要注目だ!!いろいろぶっ放してくれることは間違いがない!!(ぶっ放しについて本人と確認済み)

https://mcsya.org/concerts/tokyo-concerts/may-31-2020-roman-kim-tokyo/