バイエルン放送響の首席指揮者だったマリス・ヤンソンスが亡くなったのは昨年の11月。時間が経つのは早い。コロナが始まってからはさらに時間が進むのが早い。今日はもう7月24日。このままいけばあと一週間で8月。早よ梅雨明けてんか。
ヤンソンス亡き後、指揮者選びは粛々と、あるいは泥まみれになりながら進んで来たことと思いますが、いまのところまだ結論は出ていません。進捗状況は表立ってはなかなかが出てこないものでありますが、裏では苛烈な就職活動が行われていることと想像いたします。
かつてマーラーが、ウィーン国立歌劇場総監督のポジション獲得にあたってありとあらゆる人脈を駆使し全方位からの総攻撃をしかけたことは知られておりますが、今も同じことだと思います。なりたいと思っている本人は表向き「なるようにしかならない」みたいな素振りを見せつつ、地元の有力者、資産家や政治家などからプッシュしてもらう。
就職に成功すると莫大な富が流れる上に自分たちのブランド価値もあがるから、所属事務所も強力な布陣を敷いてバックアップするのであります。このガチャで当たりの確率を上げるため、陰に陽に、むしろ陰に陰に就職活動を支援する。
迎えるオーケストラ側は、指揮者としての力量、年齢、カリスマ性、スポンサーがどれだけつきそうか、団員にどれだけ評価されているか、長く持ちそうか、客席は埋められそうかなど複合的な要素を勘案しながら、決定することになるのです。
●ミュンヘナー・メルクーア紙に予想記事が出ました。
https://www.merkur.de/kultur/wo-liebe-hinfaellt-simon-rattle-als-chef-br-symphonieorchesters-13839642.html
最有力候補はラトルで変わらず
現在の所の最有力候補は、これまで囁かれてきた通りサイモン・ラトルで変わらず。ベルリン・フィルを率いたという最大にして最強の利点がありますからね。ラトルが来れば資金面含め大きなプラスとなるだろうし、最近の共演は熱狂的に受け入れられているから、本人さえ望めば決まり、とまで言い切っています。
団員からはネゼ=セガンの評判もめちゃくちゃ高いそうです。しかし北米で2つのオーケストラのポジションに就いているし(フィラデルフィア管、モントリオール・メトロポリタン管)、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の音楽監督でもあり、忙しすぎる。またアメリカ大陸の人という意味で難しさがある。近年欧州のオーケストラは、なんだかよくわからないのですが「自然に優しい」「エコロジカル」であることを推進するようになってきているので、音楽監督が大陸間を飛ばなければならないという事に対してイメージがよろしくない。
あとはウェルザ―=メストの名前も挙がっている。ウィーン国立歌劇場の音楽監督をしていたという言葉の重みもあり、セレブ的な意味、政治的な意味合いでは非常に強い。本人もヨーロッパでのポジションを熱望している。しかし団内からの評判はそこまで突き抜けたものではない。「ニュートラルすぎる」「優等生すぎる」「保守的すぎる」。
ハーディングの名前もあったが、ウェルザー=メスト同様、印象はうすい。
さて。
え、うっそ!!●●●●が!!いやいやいやいやないわないわー!!みたいなどんでん返しもあり得るので、要注目。これが恐怖の人事ガチャであり、その醍醐味でもあります。
なお●●●●にはお好きなお名前を入れてお楽しみください。決定するまで何度でもお楽しみいただけます。