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ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の舞台係、締め出される

ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場からまたニュース。こんどは火曜日から(つまり昨日から)舞台係が締め出されているようです。賃金交渉が決裂しているとの報道です。

https://www.nytimes.com/2020/12/07/arts/music/met-opera-lockout-stagehands.html

舞台係というのは大道具や小道具を作ったり、ステージ上のセッティングをしたり、転換をしたり、ということをする人たちのことです。舞台裏の力持ちです。彼らがいなければ公演は成り立ちません。

コンサートホールや歌劇場などには必ず舞台係が直接、あるいは業務委託の形で雇われていて、その数は歌劇場ですと100名を軽く越してくることもあります。メトロポリタン歌劇場に一体何名の舞台係の人たちが働いているのかはわかりませんが、ニューヨーク・タイムズのこの記事を呼んでいくと、ローカル・ワンという舞台関係の老舗会社(132年の歴史がある、とウェブサイトに書いてあります)に委託しているのかな?という風に読めます。違うかもしれませんけど。

で、メトロポリタン歌劇場は来年秋に一応再開を予定しているわけですが、来年春ぐらいからその上演に向けた準備が始まるようです。それまでに合意に至らなければ、劇場側としては、おっしゃわかった、ほかの人を雇うわ、っていうことにしているようです。

賃金交渉と言いますが、具体的にはどのぐらいなのか。その金額も書かれておりまして、30%のカットが提示されているそうです。30%カット、なかなかきついなと思うんですが、そもそも歌劇場はコロナでずっと稼働しておらず、舞台係も実質ほぼ何もすることがない状態のはず。「暇だから、気になってたあそこを手直ししよう」とか、働き蜂的な日本人ならそのように思う、かもしれませんが、アメリカの場合は、ガッチリと契約で決められたこと以外のことは誰もやらないのではないか、とも思います。

メトロポリタン歌劇場もいまずっとスポンサーからと寄付金のみに収入を頼っている。なので給与カットもある程度やむなしかもとは想像するのですが、そこで激しく交渉するのがアメリカ、といいましょうか。

それで30%減ったらどんぐらいになるの?と思いますでしょう。減る前の平均給料っていうのが書かれていまして、額面で26万ドル=2,700万円ぐらいだそうです(本人に渡っている額か、委託先の会社に渡っている額なのかは不明)。それが30%減ると1,890万円にまで落ちる。なるほど。これは確かに大きいすね。

いや、そもそも平均で2700万円もらっていたこと自体がすさまじく、まさに「驚愕」の二文字なのですが、もっと安くていいよ!妥当ではない、とか言い出すとそれは僻みになっちゃう、かもしれないので、すごい、とだけ申し上げたい。

で、この30%カットに同意した場合、週1500ドル(週15.6万円、月収にして62.4万円ぐらい)が休業補償としてもらえることになるらしいらしいんですよ。ところが組合は反発していて同意する素振りを見せていないそうです。