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コンサートのチケットが売れない場合如何するか

日本の場合は兎に角にも「形を整える」事が大切なのでひたすら知人やありとあらゆる伝を遣い招待券で埋める場合が圧倒的。
実際会場に行くと「ふむふむこれは9割招待だな」とか判る場合もあるが、主催者としてはこれが一番安堵すると言う解決法。
次はそのままの状態でやる。
ある時ピアニストのイーゴル・カーメンツにホールから電話が掛かって来た「来週の貴方のリサイタルですが5枚しか売れていません。わざわざ何時間も掛けて来て頂くのも恐縮ですから、出演料はお支払い致しますが、キャンセルしてもいいですよ」「
5人の方が買ってくださっているのなら伺いますよ」「いや、高々5人ですよ」「いえ伺います」ノリに乗って結局アンコール6曲も演奏したらしい。
その3。実際MCSの前身とも言えるSOPRAと言う団体で起きた事。あまりにもチケットが売れないので、購入してくださった何枚かの方々に返金して、全員無料だけどカンパという形にする。これは罪悪感が少しは軽減されるが何れにせよ解決方法としては如何なるものか。
MCSにとって一番いいのはサロン・コンサートと言う形。入らなければ入らないまま、本当に聴きたい人だけが間近で聞いている。長年MCSのコンサートはこの形が多く、ウストヴォルスカヤ、シルヴェストロフ等主催者としてやりたい放題やれる点では良いが、収益方面は苦労するが安定した常連は増える。不思議なことにロンドンでもウィーンでもMCSのサロンコンサートには評論家が良く集まっていた。まあ、30年以上演奏会の企画制作を手掛けて来たがquality とfinanceのバランスを取るのがこれ程難しいものはない。
ならば最初からサロンに特化という事になるのだが、サロンコンサートの一番大切な事は1にも2にも兎に角qualityに尽きる。残念ながら我が国に於いてはその認識が共有されていないのが実態である。この件 いついては又の機会に……