英国のみならず欧州のマネージャー複数との会話の結果、これからしばらく欧州であり得る状況をまとめてみよう。
その前に、昨日、ドイツのオーケストラでコンサート・マスターをしているあるヴァイオリニストから送られて来た記事のリンクを添付する(この書き手ソニア・ジメナウアーはドイツでは一目も二目も置かれている、ワンおばちゃんも尊敬する業界の大御所の一人である)。
この記事から感じた事は、この道30年近くの大ベテラン・マネージャーにとってはCAMIもハザード・チェースもコロナとは関係なく遅かれ早かれこうなる運命だったということ。コロナが引導を渡しただけで道はすでに用意されていたのだ。だから驚かない。
Konzertagentin zur Pleite von Columbia Artists – “Die Krankheit unseres Jahrhunderts ist das Management”
https://www.deutschlandfunkkultur.de/konzertagentin-zur-pleite-von-columbia-artists-die.2177.de.html?dram:article_id=483408
図体が大きいから、その歴史と遺産で今まではやって来られたのかもしれない。しかしそもそも今までのやり方が行き詰まっていたのだ。そのことに目をつむり、見たくないものを見ずに前に進み続けた結果がこれなのだ。
我々は変わらなければいけないのだ、と欧州のベテラン達は言っている。
というわけで予想される欧州の今後しばらくの傾向の予測である。
1.ロースター掲載に対してアーティスト側が月々の手数料を払うなど、音楽マネージメントのあり方の変容。今までも一部あったと伝えられるが、今後は多くのアーティストに対してこう言うやり方を適用せざるを得ないのではないか。
2.集客能力が抜群にある演奏家以外は、経済的な実情を鑑みて、出演料が下降傾向となる。
3.ここ2、3年Going Green(※環境への配慮)によって飛行機の利用を極端に控えようと言うトレンドがある。これは「今日はロンドン、明日は北京その次はニューヨークと言うような事は極力やめよう」というものだ。特にオーケストラにこの考え方が顕著だ。しかし、ワンおばちゃんは聞いてみた。「もし大金を積まれて『さあ、どうだ』と言われたらNOと言えますか」。無返答だった。
4.自国、地元、若い(若手振興に携わっていると言う主催&企画側の満足と、出演料、宿泊、交通費の節減および地元と言う意味での集客)が、オーケストラ等のソリスト選びのキーワードとなる。これは特にオーケストラと言う金の掛かる団体を存続させていくためには、各国避けて通れない道である。
5.今後各国での文化予算の引き締めは必至である(例外はあるだろう)。今までの形態でのコンサート運営を変化させなければ、演奏会という、音楽を愉しむ形態そのものが持たないであろう。演奏家、マネージメント、企画、主催者など、「音楽」を生業とする全ての人、演奏を楽しむ全ての人々全てが、歴史の大きな曲がり角の大波に遭遇している。変わらなければならない。「波をかぶってものまれない」ようにしなければいけない。I shall repeat, “music will survive at all times” and we will change to make this happen.
音楽の未来に乾杯。
(MCSの「C」はシャンパンのCであります。念のため。)