ホセ・カレーラスと言えば三大テノール。三大テノールと日本語では書きますが、英語ですとザ・スリー・テノール。「三人のテノール」という感じ。日本語ですと「三大」という言葉がしっくりくるんで「三大テノール」がやっぱりぴったり。
そのうち一番年長だったパヴァロッティは世を去って久しい(2007年没)ですが、ドミンゴはまだ現役なのは皆様もご存知のことで、カレーラスについてもまだ時々コンサートをしているという認識でおりました。しかしついにカレーラスがウィーン国立歌劇場で“お別れガラ”コンサートを開催した。ずばり”Adieu und Danke”「さようならそしてありがとう」。エリーナ・ガランチャほかが出演。ORFが収録していて10月3日に放映があるそうですけど、日本からはきっと視られない、だろうな。
https://wien.orf.at/stories/3121433/
カレーラスは1974年1月28日に《リゴレット》のマントヴァ公爵でデビューしてから1996年までにかけウィーン国立歌劇場に合計140回以上出演。その後も数回出演しているようですがいずれもオペラではなく恐らくコンサート。
ウィーン国立歌劇場の外の電飾も「アディオス・ホセ」(ホセさいなら)↓
Große Abschiedsgala von José Carreras an der Wiener Staatsoper. Die Wiener Staatsoper bedankt sich für die vielen wunderbaren und unvergesslichen Abende! #josecarreras #abschiedsgala #wienerstaatsoper pic.twitter.com/mCw9QhUmqD
— Wiener Staatsoper (@WrStaatsoper) September 14, 2021
1974年のその《リゴレット》はなさそうでしたが1974年のメトデビューのときの《トスカ》から「妙なる調和」、ブラボーの嵐↓
ホセ・カレーラスといえば白血病からカムバックした、そのお祝いとか、白血病の治療の支援のための資金集めの意味合いも含めて始まったのが3大テノールのコンサート。カレーラス基金は合計で3億ユーロ(387億円ぐらい)もの資金を集めたというから、その影響力は凄まじいレベル。
たしかクラシック音楽史上最も売れたCDがこの3大テノールのものだったはずで、うちの実家にもあった。レコードが擦り切れるほど聴いたよね(CDです)。彼らの出演料はそれぞれ1億円ぐらいと聴いてたまげたよなあ。うっはー、すごい金額や!ワンステージでこんなに稼げるクラシックのコンサートはもう今後は絶対にないと断言できる(この世に絶対は存在しないけど、言い切っていいと思う)。
それももう20年ぐらい前の話で、いまや3人のうちもっとも若いカレーラスも74歳であり、12月には75歳におなりなるそうで、お写真をみましても「あああお老けになられた」と言う印象です。テレビでわくわくしながら見た頃の姿から相当隔たっていただけにわりとショック。しかし人生は一方通行。お顔の皺にしっかりとその人生の歴史が刻み込まれている。
長いあいだお疲れさまでした。11月には日本にも来ることになっていますが、これが日本においても最後のコンサートになるかもしれず(ならないかもしれないけど)、かつての熱い想いを胸に足を運んでみるというのもよろしいのかもしれません。もう往年の声はないだろう、しかし、その人生を聴きにというか胸に刻みに行くのである。