世界のプロ・オーケストラのプログラムを全部調べることはなかなかマンパワー(おっと!)が必要ですが、さすがに全部とはいわずとも、世界27カ国の代表的な(?)オーケストラ100団体のプログラムを頑張って調べて分析したで、という調査結果が出たのだそうであります。
Donne, Women in Musicという会社によるその分析の結果が知りたいと思うなら引き続きこの文章をお読みください。そのほかの方はベーリング海の荒れ狂う海の画像でもご覧ください。
結論から行きますと、女性作曲家の作品はプログラム全体の14,747曲中わずかに747曲(5%)という結果だったそうであります。報告書PDFは以下にございます。
https://donne-uk.org/wp-content/uploads/2021/03/Equality-Diversity-in-Concert-Halls_2020_2021.pdf
オーケストラのコンサートと一口に言っても「依頼公演」とかそういう感じで呼ばれるオーケストラ自体が主催するのではない公演、あるいはスタジオ録音その他いろいろありましょうけれど、おそらくオーケストラ自身が主催をしている定期公演とか名曲コンサートとかそういうのに絞っているのではないかと推測いたします(あくまで推測)。加えて、2020-21シーズンはパンデミックで計画はされていたものの演奏会そのものがなかったケースや曲目変更も多々あったと思うんで、実際に鳴り響いたかどうかは不明であります。
という前提はともかくとして、5%というのは多いのか少ないのか。「白人男性が不当に優位だ!!不公平だ!」と思われるかも知れませんが、そもそもクラシック音楽の代表的な作品が書かれたのは白人男性中心だった時代(いまもなおそうかもしれませんが、今以上にずっと)なので、そこは含んでおかなければいけない。なので、この5%という数値は今後劇的に上昇するかと問われると、あまり大きくは変わらないだろう、ということは想像がつく。
それはそうとして、この調査では「黒人もしくはアジア人男性」=2.43%、「黒人もしくはアジア人女性」=1.11%という結果も出ておりまして、黒人とアジア人をマイノリティとして一つにくくるのはどうなんや、という疑問もございましょうが、やっぱりこれまた低いですねということになる。
企画者のコメント「今度、音楽における不平等は過去の問題だと言われたら、自分が知っていると思っていることを信用せず、代わりに数字を調べてみてください」。
なお日本のオーケストラから選ばれているのは日本フィル、NHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団の4団体で、女性の作品が演奏されたコンサートは読響の2回と日フィルの2回=合計4回のみで、「白人女性の作品」=読響1作品、「黒人もしくはアジア人女性の作品」=日フィル2作品、読響1作品、「黒人もしくはアジア人男性」=N響21作品、都響6作品、読響4作品となっている、と思う。図が読みにくいが多分この解釈であっていると思う。間違ってたら電話ください。
大事なのは、平等の名の下の急進的な変化「ザ・劇薬」ではなく、徐々に時間をかけた変化でありましょう。