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残響が足りない?じゃあ人工的に増幅すればいいじゃない(オレゴン)

オレゴンってどこ。アメリカは広くて、どこになにがあるのかほぼ全く分からないぐらい私は地理感覚が発達していません。最近長男がね、グローバル世界地図というのに凝っていて、変わった地名にやたら詳しくなって困っているんですよ。

ためしにプエルト・リコは?って聞いたら「アメリカ」って即答で返ってきて卒倒したわ。しかも合ってるし。プエルト・リコはアメリカだって、みんな知ってた?

さて、オレゴン州はどこ。カリフォルニア州の上の州がワシントン州で、シアトルのあるところ、その下がオレゴン州である、と。

なるほど。

オレゴン交響楽団はポートランドにあって、本拠地はアーリーン・シュニッツァー・コンサートホールで、1928年開館。2776席。でかいね。写真をみると2階席の傾斜も急で、武蔵野市民文化会館を見ているかのようだ。

The Oregonian

オレゴン交響楽団というと都響ファンの皆様およびのだめカンタービレファンにはおなじみの指揮者ジェームズ・デプリーストが長年音楽監督を勤めたところです。

そんなことより、音響が良くなかったらしいんですよ、音響が。もっと簡単にいうと、クラシック音楽にとってもっとも大切とされる残響が少なすぎた、デッドであった。また音に温かみが感じられない、といった不満もあったと(温かみの不足は、メイヤー・サウンド社のテクニシャンによりますと「低音域の不足」なのだそうです)

https://www.oregonlive.com/entertainment/2021/09/new-sound-system-is-a-game-changer-for-arlene-schnitzer-concert-hall-oregon-symphony.html

ホールを建て替えればいいじゃない?何をっ!そんな金はない!!

そこでどうしたか。

メイヤー・サウンド社の最先端の音響テクノロジーを駆使したコンステレーション・アコースティック・システムを導入。コンステレーションってのはconstellationと書いて「星座」とか「集まり」とかいう意味。ケンタウルス座はconstellation Centaurs。詳しい情報が知りたい方は同社のサイトへ行ってきてくんろ↓

https://meyersound.com/product/constellation/

もちろんこの音響システムはこの建物にあわせてカスタマイズされており、建築物に大きな影響を及ぼすことなく音響効果を最大限にしている、と。もともとはボードビルショー(「演芸」みたいなもん)、映画館として設計されたこのホールは、オーケストラなどの演奏には不向きな音響特性をもっていた。場所によって響きのばらつきもあるし、演奏家同士の音も聞きづらかった。ステージ脇や天井に反射板を使っていたが、それでも効果は限定的だった、と。

そこで2015年、サンフランシスコ交響楽団のリハーサルスペース「サウンドボックス」で使われているという同社の星座システムの効果を視察し、これだ!と膝を・・・実際に打ったかどうかは詳らかにしませんが、導入を決定した。500万ドル(5.6億円ぐらい)がかかったが、建て替えよりもずっと安いぜ!

86のマイク、293個のスピーカーを設置するなどしているが、音の増強はしておらず、空間の反響音の修正、反射音の強化をしているということだそうです。それは増強とは言わないのかな?とちょっと気になりましたが、結果が良けりゃこまけえこたあいいんだよ!

もちろん、残響の長さもコントロールが可能で、希望に応じてパッパッパーのパーよ。ヨーロッパの大聖堂で演奏しているぐらいの長さまで伸ばすことが可能。すんばらすい。

人工物反対!生音バンザイ!という方々の耳には歪んだ音に聞こえるのかもしれませんが、昔のシステムならいざしらず、今のテクノロジーの発展は凄まじいですよ。そう思い込んで聞くから悪く聞こえるのであって、なんにも知らされずに客席にいたら、絶対に気が付かないと思いますね(と、これまたそう信じたい人=私のコメントなので、本当の結論は、自分の耳で確かめろ!!!!)。