visa backlogsというフレーズが目に入りまして、バックログってなに?どやどやと検索をしましたところ「ビザの遅延」ちゅうことらしい。backlogというのは、直感的になにかこう、後ろにあるなにかかと思ったわけですが「やり残し、後回しになっている作業」とかそういう意味らしい。いやー、英語の能力がまた一つ高まった。私はこうして今日も賢くなったのだ。ワハハハハ!
誰も褒めてくれないのでとりあえず自分で自分を褒めておいて先に進みたい。
アメリカではコンサート活動が戻ったと言われていて「そういうもんだろうなさすがアメリカさんやな、日本はそれに比べてブツブツ・・・」とか思っていたわけですが、なんということか、アメリカでは「ビザ発給の大幅な遅延」がいま深刻化していて、アーティストの入国が非常に難しい状態になっているという。
https://www.nytimes.com/2021/10/15/arts/music/visa-backlogs-classical-music.html
つまり日本や中国などアジア諸国では入国時の隔離が障壁となって立ちはだかっているのだが、アメリカの場合はいわゆる興行に必要なビザが取得できない状態が巨大な障壁、というこれまた残念なお話です。
シアトル交響楽団はトーマス・ダウスゴーの入国を叶えることが出来なかった。ビザの発給が大幅に遅延したからだ。レイフ・オヴェ・アンスネスもまたビザが取得できずニューヨーク・フィルとの共演が果たせなかった。メトロポリタン歌劇場ではロシア人歌手2人の代役を探さざるを得なかった。いずれもビザの発給が遅れたからだ。
いまアメリカで興行をするためのビザの発給はとんでもく遅延していて、なんとアポを取るのに何ヶ月もかかる、早くて来年の春という状態になっているとか。
これはもしかすると、アメリカは自由だからアメリカへ!と人々が世界レベルで殺到しているからか、と一瞬思ったんですが、パンデミックによってビザを処理する能力が大幅に削減されてしまった、というのが実情だそうです。つまりマンパワーが足りていないということっすね。国務省は「ビザ申請を安全に効率的に処理する方法を模索している」そうなので、なるべく近いうちに解消することを願いますが、いつまで続くんやほんまに。安全面も重要ですもんね。テロとか怖いもんね。
またロサンゼルス・タイムズ紙によるとデーニッシュ弦楽四重奏団はギリギリセーフでアメリカに行くことが出来た。しかしながらむちゃくちゃアクロバティックな方法を使って入っている。以下に詳しく書かれているんですが、ざっくりいうとこういう感じ。
https://www.latimes.com/entertainment-arts/story/2021-10-14/us-visa-backlog-danish-string-quartet
6月、10月の米ツアーのためコペンハーゲンのアメリカ大使館に予約を入れようとする
↓
11月まで予約できないと言われる
↓
移民専門の弁護士を雇う
↓
ポーランドやドミニカ共和国に行ってビザ申請する案も出るが実行せず(実行できず?)
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出発予定1週間前、突然フランクフルトの大使館で空きが出る
↓
ビザ申請は本人がしなければならないため3便に分かれてフランクフルトへ、
フランクフルトのアメリカ大使館にパスポートを預け一旦デンマークに帰国
(EU内はパスポート無しで自由に行き来が出来る)
↓
ビザを貼ったパスポートはドイツ国外に郵送できないと言われたため
ベルリンにある事務所の弁護士の関連会社に郵送してもらう
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10月7日木曜、最後の2名分のパスポートが届く
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10月8日金曜、人を雇いパスポート4冊とともに
ベルリンからコペンハーゲンに飛んでもらい、全員にわたす
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10月9日土曜日朝 アメリカに向け出発
うおー・・・・。
執念を感じるわけですけど、この感じお金も相当かかっている。経済的に成り立っているからやっているのでしょうが、毎度毎度これですと本当につらい。早くこの狂騒が終わることをただただ願うのみです。