Pour se jouer 840 fois de suite ce motif, il sera bon de se préparer au préalable, et dans le plus grand silence, par des immobilités sérieuses
840回連続して主題を演奏するためには、事前に準備することが賢明であろう。深い沈黙の中で、真摯なる不動性とともに
えっ、またやるの!
そう、またやるのよ。サティの《ヴェクサシオン》。イゴール・レヴィットが一人で弾ききって「飽きた」って言ったやつ。840回、単調な音楽をひたすら繰り返すだけの音楽、それがサティのヴェクサシオン。意味は「迷惑」とかそういう感じ。楽譜はこれ。上の変なフランス語も自筆でしっかり書かれてますねやわ。
ほんでこんどはどこでやるのか。ニューヨークのタイムズスクエアで。4人のピアニストが参加するということで、えっ、途中交代するの!不公平じゃないか!なんつって。4人だったとしても演奏する側も結構な苦痛だと思いますね。だが、しかし、今回は違う。840回ただ単に繰り返すだけではなくて、そこに声楽、器楽、電子楽器、ダンス、録音された音などが挿入されて行くとかいう新しいパターン。サウンドアーティストみたいな人も参加するらしい。あと誌の朗読とか、聴衆との質疑応答もやるってよ。
なるほど考えたなという感じ(偉そうなことを言うなや)。
気が散るようなことを排除しようとしても、それは自分たちが集中しようとしているものと同様、自分たちの集合的な経験の一部なのである。混沌の中に日を見出すことに挑戦するものだ。もとに戻ることは出来ないが、ここから前進することはできる。
と書かれております。
つまり単純にヴェクサシオンを繰り返すだけでは飽きるから(当然だ)、飽きがこないように新たな要素をぶちこむ、ということですね。なるほど。普通にヴェクサシオンやるって言われても、もうそのアイデアは飽き飽きだね、ということにもなりかねないけれど、これならちょっとインスタレーションみたいな感じで面白がって参加できるかも。やっぱり途中で飽きるかもしれないけど。いや、きっと私は飽きるけど、一部なら見てみたいかも。ほら、そう言わせたもの勝ちですよ。
こういう感じの演奏はサティの頭の中にあっただろうか。おそらくなかっただろうとは思うものの、ひねくれものの変人で鳴らした人物なんで、おもろいやん、というのではないか。
おうちの中は傘だらけ、同じスーツを何着も持っていて擦り切れるまでおなじを着る、白い食べ物しか食べない、とか変人っぷりはいろいろ言われてるんで。
「ヴェクサシオン・イン・タイム」と名付けられたそのプロジェクトのウェブサイトはこちら。開催は10月22日。無料で聴けるが寄付はウェルカムということだそうです。