昨日のブログ(例のチラシ)は皆様にご好評をいただきましてありがとうございました。
本ブログはクラシック音楽に特化しています。クラシック音楽ファンの皆様にクラシック音楽にまつわるニュース(主に海外)とか面白い裏話、役に立つかもしれない情報、現場からのリポートなどを提供しておりますのでまたこれからもぼつぼつとお読みいただけますと幸いです。ありがとうございます。
じゃ今日のブログ行ってみます。
「講習会」とは何か
講習会っていう言葉は、皆様ご存じですか。夏などのいわゆるバカンスシーズンに、著名な先生方や演奏家たちを呼んでくる。そこに生徒たちも集め、1週間とか集中的に音楽を学んでいただく、そういう場のことです。世界各国で行われている。
有名なところではウィーンとかザルツブルクとか、そういういわゆる「音楽の都」的な都市の音楽院でやったりしますし、あるいはアルプスのスキー場とかそういうスンバラしく美しい避暑地で開催されたりもします。私も昔々に参加したことあるよ。内緒だけど。
学生にとって講習会とは
この講習会っていうのに一体どういう意味があるか、といいますと、まず学生。音楽を学ぶ生徒たちが「うお!!憧れの!!有名なあの先生に習える!!」というワクテカ突入の場であります。普段なかなかお近づきになれない先生に特別に学べる機会なのだ。そしてもしその先生に気に入って貰えれば、その先生が教えている音楽院や音楽大学へと入学、さらなる研鑽を積むチャンスともなりうるのだ。
「私のクラスに勉強しに来る?」。この言葉が持つ重みを考えていただきたい。若者たちの将来を左右しかねない決定的な言葉です。
国際コンクールが世に出る一つのチャンスだとすると、著名教授のクラスに入学できること、それはコンクールと同等、もしくはそのコンクールの前段階のチャンスなのである。かくしてこの言葉をかけてもらった若者は喜び勇み、その先生が教える学校を受験する!!(※ただしこの言葉が入学を担保するわけではないことは要注意。入試で普通に落とされることもあります❤)。
講師にとっての講習会とは
そして、これはあまり意識されないことですが、講習会というのは、生徒のためだけではなく、講師のためでもあります。
どういうことか。教える側としても、講習会で教えたら「お金になりますわ」っていう個別の懐事情だけでなく、優秀な生徒が自分のところにレッスンに来てくれて、自分の事を気に入ってくれれば、自分のクラスで勉強したい、って言ってくれるかもしれない。将来その若者が有名になってくれれば、自分の名前も上がり、優秀な生徒たちが集まってくるようになるかもしれない。つまり教師の側においても「名を上げるチャンス」ということであります。ウヒヒ。
音楽院、音楽学校にとって講習会とは
そして優秀な生徒が来ることで、その先生が教えている学校の名前が上がる。「あの学校にはすごい学生が集まっている」という評判を獲得できる。評判が上がれば雪だるま式に優秀な生徒が増え、その学校の評価もうなぎ登りだぜ・・・・。さあ、目指せハンス・アイスラー!(←言葉の響きが好きだから例に挙げただけ。)いざ鎌倉!!そう、風が吹けば桶屋が儲かるのである。なお、いまは鎌倉に行っちゃいけません。ダメ絶対。
結論として、講習会というのは才能の獲得合戦なのです。音楽の最高学府を目指し、生徒が、講師が、学校が切磋琢磨する、これが講習会の事実なのだ。ババーン!!(おおげさ)
ああまた前置きが長くなってしまいました。
英国、チェサムの8月のピアノ講習会は今年で20年目だそうですが、コロナの影響で中止になりかかりました。が、中止にしてなるもんか!という主催者の強い意思のもと、オンラインでやることが決まったのだそうです。
まじかよオンラインか・・・・。時差があるアジアやアメリカの子らは不利ですね。レッスンは真夜中に、なんてことにもなり得る。強力な防音室が自宅になければ参加は困難だ。
しかしオンラインレッスン、コロナ後の教育活動の一つの柱になっていくことなのかも?いや、ならないかも・・・・?。ちなみにここの今年の講師陣はドミトリ・アレクセーエフ、ペーター・ドノホー、小川典子、スティーブン・オズボーン、フィリップ・フォウクなどの名前があります。あと、ベンジャミン・フリスと、それから昔私が譜めくり業務に失敗したフィリップ・スミス氏の名前もあったよ。
そのうちコンクールもオンラインで済ませるなんてことになるかもね・・・・なんつって思ったら既に今年のルービンシュタイン・ヴァイオリンコンクールはオンラインで送られてきた音源をもとに審査して結果を出しちゃったそうです。これにもびっくり。ええんか。ええんやで。・・・・優しい世界や。
コンクールも講習会も、今後は存在や価値がガラっと変わっていくのかも知れません。