世の中はまだまだ停滞していますが、そろそろとクラシック音楽業界も動き始めている。特にイタリアとオーストリアはリスク覚悟で前のめりに動いている感があります。
●ムーティのラヴェンナ音楽祭は政府のお墨付きを得て6月21日(もう一ヶ月を切っている!)の開催が確定。もちろん制限はあり、観客は250人まで、マスク着用必須、ソーシャルディスタンス必須。会場は屋外です。こういうとこ。
オーケストラはケルビーニ管(30歳以下)、演奏者同士1メートル距離を開ける、管楽器は1.5~2メートル、歌手はローサ・フェオーラ(素晴らしいソプラノ歌手ですよ)1名で。
●そしてミラノのスカラ座。こちらはシャイーの指揮でヴェルディのレクイエムを9月に上演する予定、というのは知っていましたが、なんとレクイエムのみならず同時に第九もやってしまうという事も今朝知りました。木曜にスカラ座総裁のドミニク・メイエが語ったそうです。うおおお、まじわけわからなねえ!ド派手にキメちゃうんっすか!!めっちゃ密そうですが大丈夫ですか!!
《大合唱団のついた》《大規模&長時間の作品》を2連発!!なお「ヴェルレク」は90分!「第九」は75分!・・・・2曲合わせて165分!!拍手や出ハケを含めれば3時間超えはほぼ確実!!
https://www.timescolonist.com/muti-to-conduct-classical-music-s-return-to-italian-stage-1.24139477
これは通常通りに演奏するのか?どうする予定なのでしょうか。やり方としては4つの方法があると思うんですよね。
①合唱団はテープ(予め収録したものをスピーカーで流す)
②リモート(別の場所からの中継音声をスピーカーで差し込む)
③極小サイズでやる(何人ぐらいでできますかね?)
④いつもどおりやる
第5の案として「さらに大きなサイズで祝祭感を演出」っていうのもよくあるパターンですが、さすがにそれは非現実的。
いずれにしても相当のリスクを背負うことにはなる。感染が発生したら、それみたことか!と叩かれることになるとも思うんですが、こちとらもう限界でえ!待ってられっか!!黙れ自粛警察!!とかそういう判断なのだと思われます。たぶん。イタリアに自粛警察なる市民が存在するのかどうかは知らないんですけれど。
どうなるのか注視したい。
なお会場はスカラ座ではなくミラノ大聖堂だそうです。過去に同じ場所でヴェルディのレクイエムを大編成で上演した映像をご覧いただければサイズ感が分かりますでしょうか。これ↓合唱400人↓
この9月に予定されている演奏会では、まずレクイエムでコロナ犠牲者を追悼したのち、第九を演奏するという流れの模様。最後は歓喜の歌を歌って勝利宣言、もしくは勝つぞ宣言!ということなのでしょう。
スカラ座総裁ドミニク・メイエ「第九の演奏は『ふるさと、友情、あたたかさのメッセージ』をもたらすだろう」
●日本の音楽業界の現在の懸念の一つに、年末の第九は通常通り演奏出来るのか?という大きなクエスチョンマーク、収入への不安があるわけですが、ミラノの公演が無事に行われたということになると、積極的な判断への材料となりますでしょうか。
もちろんイタリアにはイタリアの事情があります。状況も違うし人々の感情も場所によって異なりますでしょう。仮にミラノが成功してオッケーとなっても即座にイコール世界も日本もオッケー、とはならないかもしれないことは予めご了承下さいますようお願い申し上げます。
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【まとめてあります】合唱とコロナに関する当ブログの記事一覧は以下ページにまとめてありますので併せてお読みください↓