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マリインスキー劇場のバレエ団に発生したクラスターについてNYタイムズ紙が詳細報道

ロシア、サンクトペテルブルクのマリインスキー・バレエで50人近い感染者が出たらしいという噂が駆け巡りましたが、おとといニューヨーク・タイムズ紙にニュースとなって掲載されました(2020/8/19)。

https://www.nytimes.com/2020/08/19/arts/dance/mariinsky-ballet-coronavirus-outbreak.html

これによりますと感染者の数は約30名だそうです(ロシアの通信社から引用されている数)。マリインスキー劇場では引き続きオペラやコンサートは実施されていますが、バレエは中断されたまま。

マリインスキーはどういう対応をしていたのか?

マリインスキーのやりかたに無理はなかったのか、というのが気になるところではありますが、この点に関してはダンサーにインタビューしており、安全に関しては最大限の努力が払われていたと。しかし徐々に緩んでいったようでもあります。

5月末からクラスが再開され、最初は教師、ピアニスト、そしてダンサー3名の合計5人に制限されていた。検査も当初は2週間に一回、そののち毎週1回受けていた。リハーサル室はクラスが終わる度に消毒、ダンサーは建物に入る前に検温、リハーサル室に入るまでマスク着用(リハ中はマスクなしオーケー)。

8月の頭からはペアで踊れるようにし、公演も再開。順調に開催されてきたのでついアクセルを踏んでしまった。コール・ド・バレエ(群舞の人たち)も参加、クラスの人数は30名にまでなった。そうしたらこれが起こった。

やはりアクセルを踏めば発生するということです。そしてブレーキを踏む、収まる、またアクセルを踏む、、、、これの繰り返し。段々と疲弊し感覚は麻痺していく・・・。

コバエとの死闘

ここで突如として話は我が家へと移るのをお許しください。我が家ではいまコバエが続々と発生しており、コバエ緊急事態宣言が発令されています。叩いても叩いても、その努力をあざ笑うかのように元気に飛び回っているコバエ共。ここに至って、ついに宣戦が布告せられたのである。

昨日私は、特に数が多い「ゴミ箱」と「おむつゴミ箱」(蓋付き)界隈の徹底浄化作戦に出た。ゴミ箱は風呂場で丸洗いし、カビキラーで殺菌し、日干しした。床は何度も雑巾で拭き、ホコリも8割減だ。そして100近い個体が「適切な処置」を受けたことであろう。

翌朝すなわち今朝である。爽やかな目覚め、そして、、、あっ!目の前を嬉々として横切る黒い点々!!!夫妻は大きな無力感を感じるが、妥協なくふたたび潰しにかかる。ローラー作戦である。息子たちは「今日何匹目ダ!!」と大喜びでカウントし、来週1歳を迎えんとする末娘はハオーワー、と口にして微笑む。

・・・・構造としてはこれと同じことでしょうか、やや例が卑近にすぎるだろうか。

海外のバレエ団もこの事象は注意深く見守っているのではないでしょうか。ベルリン国立バレエ団のコメントも掲載されていました。「これは恐ろしい話だ。週に一回のテストは十分ではないが、我々には毎日テストをする金銭的余裕はない」。

検査の効果は限定的

テストっていうのはPCR検査のことかなと思いますけれど、検査と言ってもそもそもテストを受けた段階での状態を調べるだけなので、週に一回テストをしたとしても、完全には防げないことは明らか。テストとテストの間に感染する人はいる(それは自分かもしれない)。その人を介して5日目や6日目に集団感染が発生する可能性がある。このマリインスキー劇場の集団感染がそれを証明しています。検査はある程度の安心感をもたらしますが、安全をもたらす魔法の杖ではありません。

ベルリン国立バレエ団では8月27日に予定されているガラは予定通り実施するそうです。ただしダンサーはお互いに3メートルより近づくことがないし、ステージ上には最大6名しかいない、と。

最後にマリインスキー・バレエのソリストのコメントをご紹介して、また駆除活動に出かけてくるよ。

「ステージの再開には2年待てという人たちがいるが、馬鹿げている。バレエダンサーのキャリアはせいぜい20年なのに」(ザンダー・パリッシュ)。

「芸術には恐れよりも力がある」「バランスを見つけることだと思う。我々はそのためのモルモットなのだ」(オルガ・スミルノワ)

うわまた目の前を・・・おのれ!!(憤怒)