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BBCニュース:「歌と会話のエアロゾル量に変化なし」。だが本文をよく読めば。

イギリスにおける最新の研究によれば、歌で発生するエアロゾルの量は、会話での量と変化がなかったそうです。これはBBCがおととい(2020/8/20)出した記事によります。

https://www.bbc.com/news/health-53853961

なーんだ、そっか、じゃあ合唱は安全なんだ!

ちょっと待て。本文をよく読んだらそれは違うっていうことがわかるんですが、ツイッター界隈を見ますとタイトルだけで釣られた人が続出しておりました(そもそも会話は安全という前提が必要なんですけど、会話でも感染しますよね)。

この記事のタイトルは Singing ‘no riskier than talking’ for virus spread で、直訳すると「ウイルスの拡散に関して、歌うことは『しゃべることと比べリスクは高まらない』」みたいになりますけど、およろしくないですね。本文を読んで行きますと、さらっと「大声になったらエアロゾルは30倍になるっぽいけどな」と書いてある。

声量がアップすればゾルゾルエアロゾル子は30倍になる可能性がある、だけど声量が同じなら歌っても喋っても同じやぞ、というのは、よくよく考えれば(よく考えなくても)、当たり前のようにも思えるけどどうなんでしょう。あと、書かれてないですけど30倍って、これ一人当たりのことを指していると思うんですよね、つまり人数分を掛けたら・・・ヒッ。

そもそも会話と同じ音量でやる合唱団ってありませんでしょう。会話とちがって合唱っていうのは「集団で大声を」「会話よりもずっと長い時間」「集中的に発する」。大声でハモったら気持ちよかろう(小声でハモっても気持ちいいです。あと鱧は好きです)。よって30倍かどうかはともかくとして、合唱においては会話よりもずっとエアロゾル助は発生する=リスクが高まるのは確実ではないかなと。

結論として、このBBCの記事はタイトルがあまりおよろしくないのではないかと、そのように申し立てておいて、本日もコバエとの戦闘の準備に入りたい。今日は荒れるだろう、激闘だ、と将軍は予言する。

ところで、郡山市で、合唱でクラスターが発生したというニュースがありました。

https://www.minyu-net.com/news/news/FM20200821-528639.php

フェイスシールドをしてたのに、と書いてありました。もちろんいろいろ対策は必要ですし、フェイスシールドだけを槍玉に挙げるのは片手落ちですが、合唱にフェイスシールドはあまり効果がないようだという研究結果、報告があることは拙ブログでも何度かご紹介して来ました。以下ページにいろいろまとめてありますので、教育関係者、合唱関係者の皆様にもひろくお読み頂けますと幸いです。

https://mcsya.org/list-corona-and-choir/

みなさまどうぞご安全に。