3日前のニュースですが、日本にもたびたび来日をしていて、よく知られた室内オーケストラ、カメラータ・ザルツブルクでクラスターが発生し、7名が陽性反応となりました。ザルツブルク音楽祭《100執念》、もとへ《100周年》を終了させたオーストリアにも再びコロナの影が忍び寄って来ています。
https://salzburg.orf.at/stories/3069136/
カメラータ・ザルツブルクではリハーサルの前に検査を義務付けているようで、そこでどばっと陽性が出た。陽性反応者およびその家族は隔離。昨日のコンサート、および明日のコンサート――それぞれ1日2回公演だった――が延期となっています(延期日程は未定)。チケットを持っていた人は延期コンサートでそのまま有効。
これによって今後そのほかいくつかのコンサートも中止もしくは延期となるようです。来週彼らとツアーに同行する予定だったエレーヌ・グリモーは出演をキャンセルしたという話もあります。
https://slippedisc.com/2020/10/bartoli-cancels-amid-covid-fears-other-stars-too/
これを読んであっ、なるほど、と思ったのですが、これは「コロナだけどみんなで頑張ろう、できるだけコンサートをして行こう」といった雰囲気ばかりではない、ということですか。いや、今更ながら気が付きましたが、コロナが怖いからできるだけコロナ感染のリスクが高い場合コンサートをしないという判断をする演奏家もいるということですかね。
つい先日ウィーンフィルを振った老大家ブロムシュテットのような人もいれば、相対的にリスクは低いと言われる壮年層の人でも、コロナを恐れてコンサートをキャンセルすることがある。レブレヒトによれば、他にもコンサートをキャンセルしている演奏家がいるそうです。
考え方は人それぞれなので、どちらかを非難をしたいとかそういう意味合いは全くなくて、なるほどなと考えさせられた、という話です。
ただ、この場合損害賠償とかそういう話になるのだろうか?という点だけはちょっと考えてしまいますね。契約書にはたいてい「疫病」とか「天災」、いわゆる「アクト・オブ・ゴッド」的な項目もあるから、こういう時に抜けたいアーティストにしたらそれを盾にして賠償金は払わない、としたいでしょう。しかし主催側としては目玉のソリストや指揮者が抜けることで払い戻しや金銭的損害が発生するとなると「オーケストラが公演をすると言っているのであればソリストや指揮者が抜けるというのはおかしい、納得行かない」と賠償金を請求してくるかもしれない。そうでなくても、その人の事を恨めしく思って「今後はちょっとご遠慮させていただくわ」っいうことになるかもしれない。こういう時は恨みっこなしなんでは?とも思ったりもしますが、そう思わない人もいるし、最終的には「ケースバイケース」ということになるでしょうね。
なおカメラータ・ザルツブルクの場合は来週のツアーそのものが消えたようです。ルクセンブルク・フィルのウェブサイトによると10/10に予定されていたカメラータ・ザルツブルクwithグリモー公演は中止となっています。
https://www.philharmonie.lu/en/programm/helene-grimaud-camerata-salzburg/2759
理由が赤字で書いてあって「グリモーはヨーロッパに来ることが出来ないことがわかった」とある。カメラータ・ザルツブルク側のクラスターが理由ではありません。もしかするとクラスター発生より前から中止が決まっていたのかもしれません。グリモーは行きたかったが、国境が開いていない、2週間待機などの問題でいけなかったのかもしれません。
NOTE: We would like to inform you that due to the current situation the pianist Hélène Grimaud finds herself unable to travel to Europe and therefore forced to cancel her planned tour with Camerata Salzburg. As a result, the concert planned on the 10.10.2020 at the Philharmonie Luxembourg has been cancelled. All clients with tickets for this concert will be contacted directly by our Ticket office
真相はわかりませんが、なんにせよ毎日がため息。