マドリードがふたたびロックダウンしたそうですね。
このコロナでは音楽関係だけが苦しいわけではなくて、様々な職種の人達が苦しんでいるわけですが、トロンボーン奏者が宅配業者、オーボエ奏者がウェイトレス、クラリネット奏者はシェフ、トランペット奏者がスーパーのピッカー、ヴァイオリニストが大工、チェリストが小説家。
それぞれ立場も年齢もことなる6名の短いインタビューがデイリー・メール紙に掲載されております。
ドイツなどとは異なり英国の場合、国からの助成金も少なく、フリーランス音楽家の救済対策が不十分だなどと言われたりしているようですが、こうして写真付きで見せられると(タブロイド紙的あざとさは若干気になりますが)リアルに響いてくるようだ。
どうやら英国音楽業界のコロナ事情は引き続き厳しそうなので、バイトは長期化せざるを得ないのかもしれないし、むしろこの6人の方たちは仕事があってきちんと稼げているから素晴らしい、といえるのかもしれません。
「1日に150個までの小包を配達している。飛行機は満席なのにコンサートホールが空席なのはおかしい」
「朝2時から8時までスーパーのオンラインストアのためのピッキングをしている。他の音楽家と共有していた仲間意識が失われてしまった」
「大工仲間から屋根の上のバイオリン弾きと言われた。しかし自宅から5分でいけるし、フィットネスも兼ねているし、アウトドアにも行ける」。
「仲間たちと一緒に働けるのは素晴らしいが、この仕事は私のものではないと感じている」
「出版社10社に送ったら奇跡的に1社と契約が結べることになった。小説が2年後に出版される予定だ。もう二度と演奏はできないのではないかと恐れている」
「カレーを友だちに振る舞ったら売るべきと言われたから売っている。音楽家だったときと同じ一日150ポンドを得ている。音楽が恋しくなる。」
個人的にはヴァイオリニスト→大工っていう、音楽家としてはリスク高めなんじゃないのか(音楽家にとって大切な指などを怪我で駄目にする可能性があるのではという意味です)という職業の選択に軽く驚きました。屋根の上のバイオリン弾き、フィットネスを兼ねアウトドアにも行けるっていうのはなかなか強烈な英国流ブラックユーモアですかね。