昨日、電撃的に来日公演が発表されたダニエル・バレンボイムですが。
https://tempoprimo.co.jp/archives/5251
16年ぶりのリサイタルなのだそうです。演目はベートーヴェンですが第一夜が1-4番、第ニ夜は30、31、32番という、攻めてるプログラム。つまり最初のかたまりと、最後のかたまり。それにしてもベートーヴェンのピアノソナタは1番からまったくユニークなんですよね。1-3番は3曲セットで出版された作品なのでまとめて弾くのは十分に意味のあることですし、そこに4番が最後に足されているというのも非常にいい感じ。4番は「恋する乙女」とかいう名前がつくこともありますけれど、実際にはなかなか派手でエッジの効いた曲なんですよ。若いベートーヴェンの野心が透けて見える。演奏も困難なんすよねー(実際に試験で弾いてめちゃ苦労した人=わたし)。ちなみに3番もド派手で豪快な曲なんで、最初から最後まで大好き。
バレンボイムは先日フランス、エクサン・プロヴァンスのイースター音楽祭に登場しマルタ・アルゲリッチとデュオを演奏したそうなのですが、そのときのインタビューがRadio Classiqueに掲載されているのを知りました。「わたしにとって世界は悲しい方向に向かっている」と語っている。
「まず優先すべきなのは健康であり、その次に経済的影響である。しかし文化を軽視してはいけない。人間にとって不可欠なものとして文化を擁護する必要がある。だが、メルケルとマクロンを信頼している。彼らは文化を知っていて、音楽を愛している。音楽の息吹を取り戻すために必要な感性を持っていると確信している。また若い音楽家たち打撃を受けている。彼らに手を差し伸べる方法を見つけなければならない。経済的にも、そして芸術的にも」などと語ったようであります。
芸術家としてのみならず、オピニオンリーダー的立ち位置でしばしば政治的な発言もしてきたバレンボイムの発言にはいろいろ考えさせられるし行間も読んでしまうというもの。
上記Radio ClassiqueのURLでインタビュー音声が聴けますのでフランス語が行ける方はどうぞ。ってか埋め込みが出来るみたいなので埋め込んでみました↓
ちなみにバレンボイムはアルゼンチン人なのでスペイン語が母国語ですが、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語、ヘブライ語、英語を自在に操るんだそうですよ。えっ?にわかには信じられない?本当なんだぜ。なのでこのインタビューももちろんフランス語です。ボンスワール!
ドイツの私の友人の言葉によれば、バレンボイムがドイツに来てオーケストラのリハーサルを始めるとき「最初はドイツ語がちょっとあやうい感じもするのだが、話しているうちにどんどん精度が上がっていく、オーケストラのリハーサルみたいに言語が上達していく」とのことだそうです。たいへん興味深い。実際に体験してみたい。