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ドイツの著名ピアニスト、ラルス・フォークト(50)が癌で闘病中

日本でもN響などとの共演で知られるドイツの著名ピアニスト、ラルス・フォークト(1970- 、招聘元のKajimotoによる日本語プロフィール)は今年の3月にツイッターで自ら癌であることを公表。

今日:癌との戦いの第二ラウンド(化学療法)。私の幸運を祈って下さい・・・。

先週14日にVAN MAGAZINEにインタビューが掲載されました。全文は以下URLからお読み下さい。

The Time Remaining
Pianist Lars Vogt on music-making after a cancer diagnosis.
https://van-magazine.com/mag/lars-vogt/

以下、抄訳いたします。専門用語に間違いがあるかもしれません。ご指摘下さい。

「残された時間」
ピアニストのラルス・フォークト、癌と診断されたあとに音楽を作ることについて

胸の下のあたりに圧迫感を感じていて、胃になにか問題があるのかと思っていたが、今年の2月に診断を受けた結果、肝臓に腫瘍があるのが見つかった。喉の奥に腫瘍があり、肝臓の腫瘍はそこからのものであることがわかった。肝臓の状況はよくなく、癌を除去するとなると肝臓をほとんど残せないので手術ができないと言われた。検査によれば自分にはハーセプチンという薬が遺伝子的に合うことがわかったので、この化学療法により癌の封じ込めができるのではないかと期待をしている。

(ガンだということを)否定したいという気持ちもあったが、すぐに取り組んでいこうという気持ちになった。全てがうまくいかなくなったときのために遺言書の作成、3人のこどもの将来、妻のことなど、様々なことを解決しなければいけないと気がついた。そして実際に整理をできたのはとても良いことだった。残された人たちのためできることをした、という気持ちは私に慰めをもたらした。自分は50歳になったが、これまでの人生での経験は全て本当に楽しいものだった。

もちろん悲観的になっているわけではなく、化学療法がうまくいくことを願っている。オキサリプラチンという薬も使っているが副作用で指の感覚が鈍くなることもあるそうで、その薬を使わないという選択肢もあった。だが「死んでしまってはピアノがうまく弾けるかどうかなんて意味がない」と受け入れた。

治療が始まる前、ピアノの前に座りブラームスを弾いた。もちろん涙が出てきた。大好きな楽器と別れなければならないかもしれないという気持ち。この楽器を演奏できることがどんなに幸せなことなのかをより強く意識することになった。医者には「ピアノが弾けるようになるとは約束できない」と言われた。ピアノを諦めるということが自分に課せられた代償なのかもしれないと思った。もちろんピアノよりもエマ(娘さんのことでしょう)の成長を何年も見たいと願っている。

Twitterでの公開は最初から決めていた。自分だけにとどめておきたいと言う人もいるだろうし、それは理解できる。でも私の場合は公開しようとごく自然に感じていた。いろいろな人が応援してくれて、たくさんの優しさに出会った。みんながお互いに助け合うことができるのだと思った。

現在化学療法は第5ラウンドの手前に来ており、10月まで体が持ちこたえる限り合計12ラウンドが行われる。「今のところすべてが安定している」。