今朝のニュース。オーストリアそして英国が再びロックダウンします。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65726500R01C20A1I00000/
いまヨーロッパの国が次々とロックダウンをしているのは、経済活動が活発になるクリスマス前後のロックダウンを避けるためという意味もあるのだとか。なるほど、と思いましたが、本当にクリスマスの頃には大丈夫な状態に回復するのでしょうか。そのあたりについては不明ですね。状況次第ということになるのでしょうが、あまり見込めないのではと思うのは悲観的過ぎますでしょうか。
そんな状況のなか、ウィーン・フィルは来日するという発表がありました。つまり「ロックダウン中の国からやってくる」ということとなります。欧米各国のあらゆるオーケストラや歌劇場など多数の団体が、国際的な演奏旅行はおろか自国でのコンサートそのものを断念せざるを得なくなり苦慮している中、ウィーン・フィルだけが特別に来日を許可されるのはなぜなのか。しかもロックダウン中の国から。これにはさすがに強い違和感と強い疑問を持たざるを得ません。その上100名を超す大編成の作品を演奏するのです(ステージ上が密になります)。
しかし、前向きに解釈するならば、今回ウィーン・フィルが感染者ゼロでツアーを乗り切ることができれば、日本のオーケストラや演奏団体にとっては突破口となるのかもしれません。
国内の反応をみていますと、様々です。
●こんな状況でも来てくれるウィーン・フィルバンザイ!
●関係者の執念がすごいバンザイ!
●これが成功例となれば、今後の展望は明るくなる!
●この状況で来るのはいかがなものか
来るという決断が下された以上は、感染ゼロツアーの達成をと願っています。サントリーホールも決死の覚悟で望んでいると思います。感染症の対策について詳細が発表されています。見ると、かなり厳しい。
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/news_topics/detail/121370.html
世界中の業界関係者が、この特例について注視していますが、ウィーン・フィルが成功例となって、今後世界中の業界全体にとって前向きな結果となることを願います。
ただ、音楽家は聖人君子でもなんでもなく一人一人の人間、むしろわりとわがままな人たちの集まりですので(自分も音大を出ていて、留学もした身分なのでその雰囲気がわかるのですが)、対策の遵守を徹底してもらうことは容易ではありません。
ヨーロッパではマスク不要論者も多く、ウィーン・フィルのメンバーにもマスクやソーシャルディスタンスは不要と固く信じている人もいるかもしれません。団員の方がルールを守れるかどうかは、関係者皆様の厳しい努力と、団員の皆様の完全な理解と協力が必須です。個人の信条はともかく感染者ゼロ達成のため、団員一人一人にあらゆる努力をお願いしたいと思います。
加えて、国内のファンの皆さまの節度ある行動もお願いしたいです。ファンとは、課金してくれる大変ありがたい、なくてはならない存在ですが、往々にして突拍子もない行動をとるもの。「迷惑な撮り鉄」も、これだけバッシングされていてもいなくならず、鉄道ファン全体にネガティブイメージを生んでいる。ほとんどの人が節度ある行動をとっても「自分一人だけなら」で、全てが崩壊することもあるのです。
私自身、ベルリン・フィルやウィーン・フィルのメンバーによるアンサンブルの来日ツアーに関わった経験がありますが、毎日のようにご友人、お知り合いの方々が彼らを歓待するのが常でした。つまり「飲もうぜ!」「観光連れてってあげるよ!」とかそういう話が毎日じゃんじゃんあるのです。今回の来日ツアーに関しては、「こっそり観光しようぜ!」「ホテル出られないから飲みに来てくれよ!」といった呼びかけがもし団員から発せられたとしても、応じられることの無いよう強くお願いいたしたいと思います。
いや、こういう意見は、本当に読んでほしい人の目には触れないか、触れても心に響かない可能性が高いのですが、それでも。