ウィーン国立歌劇場の防火壁アート2021/22はブラジル人アーティストのベアトリス・ミリャーゼス作品

© Beatriz Milhazes, Pink Sunshine, Eiserner Vorhang, museum in progress, Wiener Staatsoper, 2021/2022, © museum in progress

そんなんあるなんて知らんかったわ。というのが私の最初の感想。

もう一回言うけどそんなんあるんや、まじで。びびるけどおもろいな、とも思ったんですけど、25作目を迎えているというから結構長続きしてますやんか。1998年に始まって毎年やってるそうなんですけど(2002/03シーズンだけは2作あったため本年で25作目)、ウィーン国立歌劇場の防火壁アートというんですか、176m2ある防火壁一面をアート作品のキャンバスとする。作品はマグネットで取り付けられる(鉄製だもんな!)。1年ごとに作品は入れ替わる。その作品は開場時、休憩時間、終演時にお客様の目に触れる。

https://www.wiener-staatsoper.at/en/staatsoper/media/detail/news/safety-curtain-202122-by-beatriz-milhazes/

なるほど。

で、防火壁ってなんぞ。これは舞台上で火が燃えるという非常時がおこったときのためのもので、シャッターのように鉄の壁を降ろしてしまうことで客席と舞台を遮断、聴衆が安全に屋外に逃げられるようにするための装置であります。延焼防止&時間稼ぎであります。

コンサートホールで働いたことのある人なら知っていると思いますが、日本の劇場でも設置が義務づけられてます(はず。間違っていたらすいません)。ともかく劇場には非常時に人を迅速に建物の外に逃がすためのさまざまな工夫が凝らされていて、私の働いていたホールにもごっつい防火シャッターがあったのを覚えているし、非常扉みたいなのやらなんやらがあったわけ。

それは過去の痛ましい事件やなんかの経験から、いろいろ決められて設置されているもの。劇場では火を使うこともあるんで、いきなり幕とかに燃え移ったらやばい。大惨事が起こりかねない。火事は怖いんですよ(なので、舞台上で火を使う時は地元消防署の許可が必要です)。

あと、これ豆知識ですが、劇場の扉は「かならず」客席から見て外側に向かって開くようになっています。「必ず」です。内開きにすると、非常時(人が殺到した時)に開かなくなるからですね。押すな押すな!!押せ押せ!!→全滅の恐怖。ブルックナー時代のウィーンでも劇場の火事で扉が内開きだったがために相当な人が亡くなってますから、ウィーンでもいろいろ対策が講じられているに違いないのだ。防火壁があるのも当然である。

ただ、こういうのは使わないに越したことはないし、実際滅多に使われないんですが、それを逆手にとってというか、アートに使っちゃおうぜというのは悪い発想ではないですよね。ちゃんとスポンサーも付いていて、お金もそこから出ているのであろう。巨大なカンバスが出来て、作品を提供する側も嬉しいであろう。

今年のアート作品はブラジル人アーティスト、ベアトリス・ミリャーゼス(本人公式サイト)のもの。グロいとかコメントしているひともいますけど、ご判断は皆様におまかせ。

過去の作品が見たくなったひとはここに全部ありますから見てきて。私も2005年前後ウィーン国立歌劇場に何度か行ってるんですが、こんなアート作品あったかな。普通にビロードのカーテンだったような気もするがな。

記憶とは当てにならないものだねときみが言ったから今日は記憶力記念日。

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Noboru

私の記憶が確かならば、1998/1999以前の防火壁の作者が、ナチスに関係のある方だったらしく、このようなコンペが始まったとか。他の劇場だと、「開演が近づくとシャンデリアが上昇する」、なんてことがありますが、ウィーンのシャンデリアは固定なので、開演30分前くらいでしょうか、この防火壁が上がっていき、普通の緞帳になります。新しい防火壁の紹介絵葉書も配布されています。余談ですが、非常時に備えて劇場に消防士さんが常駐しているのですが、彼の耳が一番確かかもしれません。