ドイツの流体力学専門家「歌唱はほぼ安全」

合唱は危険である、というブログを数日前に投稿しました。アムステルダムの合唱団員130人中102人が感染した、というものです。

昨日、合唱の危険性に対して、疑問というか、誰もが危険だと考えているわけではない、という記事が英国の新聞ガーディアン紙に出ました。これ。

一緒に歌うことが4つの合唱団にコロナウィルスを拡散したのか?
Did singing together spread coronavirus to four choirs?
https://www.theguardian.com/world/2020/may/17/did-singing-together-spread-coronavirus-to-four-choirs

4つの合唱団とある通り、合唱団の集団感染のケースとしてアムステルダム以外に、アメリカワシントン州のスカジットバレー合唱団(45名が感染、入院3名、2名死亡)、ベルリン大聖堂合唱団、英国のヴォイス・オブ・ヨークシャーのケースがあると紹介しています。

しかしながら、合唱(ならびにサッカーの試合で歌うこと、誕生日会でハッピーバースデーの曲を歌うことなど)の危険性については疑問を持っている専門家もいる、と。

おお、すると合唱は安全なのか!!と思ってよく読んでみましたところが、少なくともこの記事だけじゃわからないね、という地点に戻ってきてしまいました。

流体力学の専門家ケーラー教授の主張

流体力学の専門家であるミュンヘン連邦軍大学のクリスチャン・ケーラー教授によれば、調査の結果、歌唱の場合は低音高音など、あらゆるケースを試したが、顔の前方50cmしか空気が動かなかったとのことです。なおこの専門家によれば、

●フルート→めちゃくちゃ飛ぶ
●オーボエとクラリネット→問題あり
●ホルンのような大型の管楽器→あんまり危険ではない

っていうことなんだそうです。

資料出せ資料!ってみんな言いますがこの記事に資料は掲載されておりませんのでご注意ください。(どうもフルートはやばいらしい、っていうのはなんかいろいろなところから聞こえてきてますけどね・・・。)

教授のコメントを訳してみます。

“However, we also found out that singing is quite safe. It was not the cause of the outbreaks of Covid-19 at these concerts ,” he said. “Air was only propelled about half a metre in front of a singer, and that is not far enough to cause the infection levels of these outbreaks.”

Kähler said the virus was probably spread among chorus members because of their close proximity to each other before and after rehearsals and performances. As he pointed out: “These outbreaks among choir members all occurred during the early days of the Covid-19 pandemic, before lockdowns were imposed and before our minds were concentrated on the importance of social distancing. Choir members probably greeted each other with hugs, and shared drinks during breaks and talked closely with each other. That social behaviour was the real cause of these outbreaks, I believe.”

This point was also stressed by Professor Adam Finn of Bristol University. “The evidence for a link with singing and spreading the virus may look compelling but is still anecdotal,” he said. “Without data from comparably large groups who interacted in the same way but didn’t sing, it’s hard to be certain that the singing was responsible.

“The point is that we now live in a world where the constant need for risk evaluation is suddenly noticeable. Before, we did it all the time without thinking about it.”

「しかし、歌唱についてはほぼ安全だということがわかった。コンサートはCovid-19の集団感染を引き起こしてはいない。空気は歌手の前方わずか50センチメートルしか動かず、危険とされるレベルの距離に届かない」

ケーラー教授は、ウィルスの拡散は恐らく練習や本番の前後にメンバー同士が接近しすぎていたことによると考えている。「この集団感染はパンデミックの初期に起こったものであり、この頃はソーシャルディスタンスという考えもまだなかった。合唱団のメンバーは握手やハグをしていただろうし、飲み物をシェアするなど、お互いに大変近かったのではないか。このような振る舞いが集団感染をもたらしたと自分は確信している」

ブリストル大学のアダム・フィン教授の考えも同じだ。「歌うこととウィルスの拡散には強い関連がありそうに思えるが、これはまだ裏付けに乏しい。“同程度の規模のグループが同じ様に活動する、ただし歌わない”とした場合どうなるのか、に関するデータが必要で、歌うことが問題だと断定することは難しい。ともかく我々は突然、絶え間ないリスク評価が必要となる時代に生きることになった。これまでは全く気にする必要がなかったのだが」

https://www.theguardian.com/world/2020/may/17/did-singing-together-spread-coronavirus-to-four-choirs

さて、では「リハーサル前後やコンサート前後のソーシャルディスタンスを守りさえすれば合唱団は安全」なのか?ケーラー教授は安全と言っているような感じですが、フィン教授は安全とも危険とも判断していないように読めます。さらなる調査が求められる、という感じです。

そもそも部屋の中の空気って、声で直接的には50cmしか動かなくても、身体の動きなんかでいろいろその後も間接的に動くんじゃないのとか思いますし、吐き出された息に含まれるウィルスは部屋の中をけっこう長い時間漂っているそうなんで、50cmしか動かないからほぼ安全って言われても、直感的に何となく安心はできないかな、とも思いますけれど。(とはいえ直感なんていい加減なもんですけどね。)

結論としては、上にも書きましたが、この記事一つをとって、おっしゃ専門家のお墨付きが出た!それっ!っと再開へと飛びつくのではなく、もっといろんな調査結果が出て「歌は安全」「合唱は安全」っていう大丈夫宣言があちこちから出るまで待ったほうが賢明かなと思っています。

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朝 塩

高い音も低い音も音の速さとしては(同じ室内なら)変わりありませんが
息の速さなら高い音の方が速いような。。。だからフルートとホルンを比較すれば、フルートの息の方がより遠くへ飛ぶというのは納得できます。
 
歌(人間の声)はどうでしょう。ソプラノはより危険でバスはより安全?
(まさか、ね。フルートとホルンの差に比べれば差は小さいし、個人差が大きすぎる)