ジュリアス・ドレイク、室内楽ピアニスト

アイリッシュ・タイムズに掲載されているジュリアス・ドレイク(ピアノ)のインタビュー記事を読んでいてなるほどなあと思いました。

https://www.irishtimes.com/culture/music/2022/06/20/julius-drake-i-do-mind-the-word-accompanist-i-dont-think-its-fit-for-purpose/

このジュリアス・ドレイクという名前にピーンと反応するあなたはたいへんな玄人でございましょう。よほど音楽が好きなんだなあ。世の中の人はどうしてもっとジュリアス・ドレイクのことを知ってくれないのだろうか。そう思われたことも一度や二度ではないでしょう、例えば、そう、カール・ルイスぐらいには知られていてもいいと思う。

試しに目の前の人をつかまえて「カレーライスと10回言って下さい」と頼んでみる。そしてその直後、間髪入れずに「世界一足の速い人は?」と問うて見てほしい、かなりの確率でカール・ルイスと返ってくるが正解はベン・ジョンソンだ(何年前やねん)。

ジュリアス・ドレイクは世界中で協奏曲を一流オーケストラと共演するような、いわゆるひとつのスターソリストではありませんね。それよりも、室内楽で、あるいは歌手との共演で渋くていい仕事をしている人物であります。

王子ホールのインタビューでも、18歳で「自分は室内楽を生涯の仕事にしようと決意した」とあります。そういう方です。とはいえ、伴奏ピアニスト、伴奏者、アカンパニスト、といった呼び名はあまり好きではない。まるでメインディッシュの添え物のような響きがすると語っていて、まあそうですよね、と。

伴奏者という表現はなかなか正しくないというか、今はそぐわないというか、例えば声楽のピアノを受け持つ場合、声が単旋律のところに鮮やかな彩りを加え、リズムも加え、多様な役割を果たしているわけなので、まあもちろん、ジャラーン、ジャラーンと和音を押さえるだけなら伴奏やんけということになるのかもしれませんけれど、それにしたって両者ががっちり手を握って音楽を作り上げていくわけなので、にんじんのグラッセなんかとは本質的に存在が異なるわけです。

その一方で、ジュリアス・ドレイクはこのインタビューにおいて「コラボレーティブ・ピアノ」というアメリカ的で正しい表現もしっくりこないというようなことを述べています。いやそうなんですよね、コラボレーティブっていう表現、なんかこう、うまくいえないけどぴたっとはまらない気がしているんですよね。普通にジュリアス・ドレイク(ピアノ)と書かれること、あるいは室内楽ピアニスト、室内楽を専門にするピアニスト、と書かれることが気持ち良いと思っているとのこと。

室内楽ピアニスト、とかも悪くないですね。シンプルに「名前(ピアノ)」がよろしいようにも私は思うんですがどうでしょうか。

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