マルツィン・ディラ(ギター)の、今年の来日ツアーを断念しました

タイトルのとおり本日はご報告なのですが、8月末から9月半ばにかけて予定されていましたマルツィン・ディラ(ギター)の来日ツアーは、ホールなどからの発表をご覧になってご存じの方もおられると思いますが、断念いたしました。

ディラは当代世界最高のギタリストの一人ということもあり、大変ありがたいことに全国の主催者様より大きな関心を持っていただけましてリサイタル10公演+マスタークラス4回が計画されておりました。残念です。端的にいいましてコロナコロナコロナ&コロナです。本人も「状況が許せば来日したい」と思っていたようですけれど、無理でした。繰り返します。残念です。

8月末からのツアーについて今この段階で決める必要があるのか。あります。やると決めたら準備が必要ですし、準備が始まるとなったら人もお金も動き始めますから。後々になって「やっぱ無理」っていうことになるとダメージは遅くなればなるほどでかいし、関係者の皆様により大きなご迷惑をおかけすることになる(後述しますが既にチケットが大分売れていた会場もあります)。

そして現状、8月末に海外アーティストが来日できるのか?というと、絶対に来日できるという確証は今のところありません。というわけで、海外アーティストの来日にあたってどういう不安要素が今あるかを書いてみます。

●ビザ
ビザがないことには興行はできません。いまビザの発給は止まっていますし、いつ再開されるかもまだわかりません。再開しても最初は4カ国のみ、一日250名程度、とかいう情報もあります。クラシックの音楽家にも出るようになのはいつになるのかが不明。

ちなみに東京入国管理局に現状どうなのか電話して聞いてみたんですよ。答え:「在留資格認定証明書の申請は受け付けていますが発行はしていません。いつ再開するかも不明です」・・・ま、そうっすよね。

●航空運賃
安くなるという人もいますが、空席だらけ?で飛ばすということになると一人あたりのコストが上昇し運賃も上がる可能性があるのではないかという不安。

●2週間待機問題
PCR検査を飛行機に乗る前と降りた後の2回やれば待機なしにする方向、という噂はありますが、検査に安くないお金を払うことになることは間違いないと思います。また「やっぱ2週間待機でお願いするわ」ということになる可能性もあり、その場合はホテル代がばかにならない。

2週間待機したという帰国組の方から情報を教えてもらったのですが、ホテルでの待機にあたっては部屋から出ない、シーツは取り替えないなどの規則、条件がかなりきびしく、さらに1泊あたりのホテル代は「高い」と感じるものでした。

ホテル側にも相当なリスクが発生していることは間違いないと思うのでこれについてどうこう言うつもりはもちろんありません。しかし現実的に「いやーこれお金飛んで行くよなー」という感じ。クラシック音楽のコンサートってそもそもめちゃ低予算なことが多いし、このツアーもそう。

●客席数制限問題
客席数が制限されていては各主催者(我々が主催の2公演含む)が利益を出すどころか金銭的に大きな損害を被る可能性があります。

●購買意欲の問題
そもそもチケットを買いたいと思う人がどれだけいるのか。客席が一部閉鎖されていても怖いと思う人は絶対いると思いますし。米国の調査や英国の調査結果を見ると「数ヶ月は様子見する」という人の割合はけっこう高いと感じていますし、日本でもそうなることはある程度想像がつきます。

●印象の問題
ギターは静かな音を静かに楽しむものではありますが、そもそも海外から人が来るということに対する印象が今はまだ良くないのではないか。「ヨーロッパは悲惨」というイメージをおそらく多くの方がお持ちかと思いますが、それを払拭する積極的な理由はありません。ヨーロッパから人が来る=怖い!という反応も予想されます。「東京から人が来るのも怖い」と言われたこともありますしね。

加えて、コンサートでクラスターが!なんていうことになってニュースにでもなろうものならクラシック音楽のコンサートや海外アーティストに対する印象は落ち、販売不振が深刻化、長期化する可能性があるのではないか。

というわけで、、、世の中の状況を見守りつつマネージャーや各主催者様と繰り返し話し合った結果、今年のツアーは断念することといたしました。

楽しみにして下さっていた皆様には大変申し訳なく思っております。すでに告知を始めていた、あるいはチケットを販売していたという主催者様もおられまして、そういう方々には少なからぬ費用が発生しています。チケット代の返金という作業もお願いすることとなり、つまり大変なご迷惑をおかけすることとなり大変恐縮に思っております。気にしないでくださいねと皆様に言っていただきましたけれども、返金作業って気を使うし気分が落ちていきますし、申し訳なく思っております。この場を借りて再度お詫びを申し上げます。

またぎりぎりまで発売や告知を待っていた、という主催者様も居られまして、こちらにもご迷惑をおかけいたしました。重ねてお詫び申し上げます。

ディラ、来年の来日に向けて

今年は断念いたしましたが、来年の同時期(つまり2021年8月末~9月なかば)にこのツアーを振り替えられないかとただいま各位と連絡を取り、動きはじめておりますので、また発表できることがあるかもしれません。お待ちくださいませ。主催したい!という方がおられましたらコンタクトフォームなどからメッセージをお送り下さい。

来年の夏には状況がもっとずっと良くなっていることを願っております。ディラの来日が果たされるまで、最近公開されたディラのバッハの映像をご覧になりながらお待ち下さい。来年もしかするとバッハを披露してくれるかもしれませんね。

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