英国のオペラカンパニーが多様性を追求した結果

イングリッシュ・ツアリング・オペラというオペラカンパニーがありまして、いわゆる大都市圏の豪華劇場とかそういうのをベースにしたところではなくて「オペラを地方都市で」的な、アウトリーチオペラ的な意味合いの団体だと私は認識しております。間違っていたらすいません。アイヴァー・ボルトンが指揮をしていたこともあるよ。

この団体がこのたびダイバーシティ問題に向き合った?結果、長年同カンパニーのオーケストラ奏者として関わってきた音楽家14名、およそ半数を切った。代わりに12名が新たに雇われることとなった、というニュース。

https://www.classicfm.com/music-news/english-touring-opera-drops-half-orchestra-diversity/

これはさすがに。

ミュージシャンズ・ユニオン(英国の音楽家のための組合。加入者数は3万人を越える)から猛反発が起きていて、抗議文が速攻でリリースされている。激オコや。

https://musiciansunion.info/2QJ-7J6FC-43CD15BF7B385A8F38FNG24BB26F518435DCCF/cr.aspx

それはそうだろうなと思うわけです。フリー雇用とはいえ長年関わってきた14名、多くは20年以上演奏してきた人たちだそうですが、この方たちからすれば青天の霹靂。平等のための平等とでもいいますか本末転倒と言いますか。そもそもフリー雇用なんで次年度の雇用に関してどう決めようが自由と言えば自由なわけですが、それにしてもいきなりばさっと「多様性のため」と切ってしまうと軋轢は起こる。

何かを変えていきたいというときは時間をかけてじっくりとやるべきで、いきなりがばっと変えると現場からの反発が半端ないのですがそこへの配慮が残念ながら足らなかったのではないか。「いやもうにっちもさっちも行かないクビが回りませんごめんごめん許してつかあさい涙涙涙」と言うような絶体絶命の大ピンチ事態であれば何かがっつり変えることも許されるかもしれないけれど「多様性のためなんで」という理由で、これまでカンパニーに貢献してきた人を一気にばさっと行くのはあまり心情的によろしくありません。残った人も疑心暗鬼になるし、新たに雇われた人たちとの雰囲気が悪くなるかもしれない(うまくいくかもしれないけど)。

同カンパニーは英国のアーツカウンシルの助成を受けていて「アーツカウンシルのガイダンスにしっかりと沿ったものだ」と説明しているんですが、アーツカウンシル側はその事実を否定しているようです。であればカンパニーが過度に世界の論調に忖度したのか。あるいは切りたいと思っていた人々を切る口実に使った、という理由もあり得る。真相は藪の中ですが、いずれにせよ後味のよろしくないニュース。他山の石。

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