コンサートの流血騒ぎについて考える

東京のコンサートホールで、終演間際に流血騒ぎが起こったようです。お客様同士のトラブルだそうです。

大人数の人たちが集まると、どうしてもこういうトラブルとは無縁ではいられません。クラシック音楽は「静かに座って聴くもの」ではあるものの、「静か」に対する考え方、受け止め方は人によって異なるからです(もちろん明確に「静かではない」と大多数の方々から認められるような事例が起こることもあります)。私自身コンサートホールで長く働きましたので、いろいろなトラブルに遭遇しました。

静寂のコンサートホールで問題になりがちな事柄を思いつくままに書いていくと:

貧乏ゆすり
鞄の中の(恐らく鍵についた)鈴の音
スマホ系:光(フラッシュ)、着信音、アラーム
補聴器の音
アメを開ける音
寝てしまい他人にもたれかかる
いびき
かばんやチラシ類の落下音
楽譜ほか本を広げて読む
足元のビニール袋などが音をたてる
巨大な荷物を持ち込む
やたらと動く(指揮する)
一緒に歌う
独り言
録音
香水
悪臭
(風呂入ってくれよ、清潔な服を着てくれよ)
お漏らし(あるんですよ)
肘掛けバトル
フライング・ブラボー

こんなものでしょうか。まだまだあるかもしれません。

これは非常に難しい問題だと私は考えています。音はたてないでほしい、出来るだけ静かに鑑賞したいと思うのはやまやまなのですが、世の中は多様性に満ちており、自分がこうだと思っていても他人はそう思っていないことも多々あります。また自分自身が無自覚に音を出している、他人に迷惑をかけていることもあります。

不寛容につきすすんで行くと、誰も幸せになりません。世の中は違う意見の人たちが集まってできているのですから、ある程度は我慢する必要もあります。どうしても気になる場合は、そっと後で会場のスタッフに、落ち着いて伝えてください。そうしたら案内スタッフや主催者側にそのお知らせは共有され、対応策が協議されます。

「あいつらは何もしない」と思われるかもしれませんが、お声が上がったときは必ず「どうする」という話し合いが持たれ「ご意見もっとも、声がけ」「とりあえず見守り」「問題なし」と判断がくだされています。とはいえ、「このときはこうする」「何デシベルを超えたら声がけ」とかはっきりとした線引が出来る問題でもありませんので、その判断はその時々で変わります。何もしてもらえない、と思われるかもしれませんが、そういう意見が出たことは記録され、経験として貯められて行き、対応が徐々によくなって行くかもしれません。

書こうかどうしようか迷いましたが、喧嘩両成敗という言葉があります。「あいつは出禁にしろ!!」という強い口調で迫られる方、さらには手を出す方もおられますが、そのようなお客様は自分自身が「要注意人物」として認知されている可能性があることを知っておいた方がいいかもしれません。よかれと思ってやっているんだ!主催側が何も手を打たないから自分がやらざるを得ないのだむしろ感謝しろ!と思われるかもしれませんが、その善意は単なる「ありがた迷惑」かもしれません。

客席は静かであってほしい。でも、あまりにストイックに走ると自分自身が楽しめなくなっていく、さらにはクラシック音楽の客は怖えよ、という事になってライト層が離れていく。それこそが絶対に避けるべきことだと思います。この事件がヤフーニュースのトップに出た事でネガティブなイメージがつかないことを願っています。

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中野信也

すでにネガティブなイメージがついていると思います。