【訃報】レオン・フライシャー。92歳。米国を代表するピアニスト、教育者、指揮者。

Eli Turner

がん。ホスピスにて。92歳でがんで、ホスピス。苦しみが出来るだけ少なかったことを願いたい。

https://www.washingtonpost.com/lifestyle/style/leon-fleisher-sublime-pianist-with-one-hand-or-two-dies-at-92/2020/08/02/c7c98f90-527d-11e6-b7de-dfe509430c39_story.html

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200804/k10012549241000.html

若い頃の演奏はビーンとしなる鋼のようなものでしたが、右手の故障、ボトックス注射が幸いにして効果があって両手復活からの、晩年のバッハ/ジロティとかはあたたかみという言葉がぴったり。

2000年代の来日公演に2回、関わらせて頂く機会がありました。両手のリサイタル、そしてオーケストラとの共演。深々とした音楽は胸に迫りました。特にシューベルトの最後のソナタ、D960の緩徐楽章は最強でした。

くまさんのように大きくて動じなくて、包容力のあるような感じ。ゆっくりと、しかし面白いユーモアに溢れた話し方をされる方で、こう、まわりの人達が自然に笑顔になっていく感じ。若い頃はカミソリみたいだったに違いないと思うんですけれど。

ボトックス注射っていうのは定期的に注射を何本も打つものなんだよ、とか、放っておくと右手の筋肉が緊張して丸くなっていく、マッサージが欠かせない、といった話も(細部私の記憶違いがあるかもしれません)、恐らく義務感からではないかと思うのですが、丁寧に教えて頂きました。何度も同じ話をするのは飽き飽きしているかもしれないのに。

ホテルにお迎えに言ったら大リーグの中継を見ていて、ごめんちょっと待っててねと言われたりですとか、車の中でスーパーSEIYUの看板を見て、じーっと考えてからおもむろにぼそっと「Say, youか・・・・ふーん・・・」とつぶやかれたりですとか、そういうささいなことを憶えていたりします。

・・・告白しますと、サントリーホールの裏に榎坂スタジオというスタジオがあって、そこに練習のために入る直前、扉の前にあった道路の小さな段差につまずいて転ばれたんですよね。ああっと思ったらもう地面に転がっていて、右手を打たれて痛そうにされていたのですが、大事には至らなかった。あれはもう本当に肝を冷やしましたし、上司から「こっ、、、ころんだあぁ??おめー何やってんだ段差あるから気をつけてって言えよ馬鹿野郎っ!!」とめちゃくちゃに怒られました。後で話を聞いた奥さんもマッツァオで「オーマイガー!」連発。本当に申し訳ありませんでした、、、。

あの時骨折にでもいたっていたらと思うと背筋が凍る。しかしご本人は、自分が悪いんだよ、ちょっと足がからまったみたいでねアッ、ハッ、ハッ、ハ。ドンウォウリー、ネバマイン。

長年教鞭をとっていたピーボディ音楽院のウェブサイトに、フライシャー自身が寄贈した過去の批評の切り抜き、プログラム、ちらし、クロスワード(クロスワード?)などの画像が1000点ほどあるので、感慨にふけりながら眺めることといたしたい。

https://cdm16613.contentdm.oclc.org/digital/collection/p16613coll3

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