「1名が52人に感染させる」アメリカの合唱団に起こったケース

合唱の安全性についての関心が高まっている

日本では緊急事態宣言が解除され、段階的に規制が緩和されていくということになっています。このままスーッと数字が落ちていく事を願っております。

さて、当ブログのアクセス状況を見ますと、合唱関係の投稿に非常の多くの反応があり、関心が高まっているということが分かります。

【警告】合唱はヤバい!アムステルダムの合唱団の集団感染ケース。130名中102名感染、4名死亡
合唱は安全か?アメリカの感染症専門家の意見

合唱団は全国に非常にたくさんありますし、関係者の皆様にとっては本当に他人事ではないですね。我々MCSも、来年大きな合唱団を日本に呼ぼうとしていることもあって、いろいろと調べております。欧州合唱界をリードする団体や個人にもコンタクトをとっており、情報の提供を受けております。(最近少しずつ、ヨーロッパ内での合唱活動の再開、あるいは再開に向けた動きがある、という情報も入ってきております)。

これからも合唱に関するニュースなど発信して行きます。

ワシントン州「スカジット・バレー・コラール」のケース

さて、アメリカで起こった集団感染のケースについて、このブログでもご紹介をしておきます。日本語でもいくつかのページで詳細を読むことが出きるので、ご存じの方も多くおられると思います。ワシントン州スカジット・バレーのアマチュア合唱団「スカジット・バレー・コラール」で起こった集団感染のケースです。

スカジット・バレーはアメリカの左上の隅のほうに位置しています(Google map)。シアトルから北へ車で90分、カナダ国境もすぐそばで、バンクーバーからもほど近い。チューリップの生産量世界2位(1位はオランダ。ん?国と地域とをミックスしてもいいのかな?)。

●練習は毎週火曜日。3月10日の2時間半の練習で集団感染
●スーパースプレッダー1名、3月7日から咳などの症状があったが練習に参加
●合唱団は総数121名だが10日の練習に参加したのは約半分の61名
●当日参加者の平均年齢69歳(31歳から83歳)、84%が女性
●練習は合計2時間半=最初全体練習40分、のち2つのグループに分かれパート練習50分、休憩15分、最後にまた全体練習45分
●休憩中はクッキー、オレンジなどスナックが用意。多くの人は口にしなかった
●練習の前にみんなで椅子並べ(6列×20席)、練習後椅子を片付け(重ねて積む)
●数日後より一気に感染拡大が発覚、最終的に52名発病(うち20名は「多分そう」)
●練習参加者の87%に、たった1名が感染させた可能性
●入院3名、そのうち2名死亡(3名ともに複数の基礎疾患あり)
●団員は自発的に自宅待機したのでさらなる拡大はなし
●団員は保健当局の調査に非常に協力的だった
●個人情報保護の観点からスーパースプレッダーについての情報なし

このケースについてはアメリカ疾病予防管理センター(CDC)による調査報告が5月15日付けで公開されています。非常に細かく記されていますので、英語が読める方はご覧になってください。

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6919e6.htm

問題だったのではないかと言われているのは、

●休憩中にスナックを食べたりしたこと(多くは口にしなかったとありますが)
●席と席の間が6-10インチ程度(15cm-25cm程度)しかなかったこと
●にも関わらずマスクなど口元を覆うものを着用していなかったこと
●椅子の片付けをした際、椅子に付着したウイルスが広まったのではないか

これらの点のようです。

密を避けることの大切さが広く知られたいま、このような大規模感染は今後起こりづらいとは思いますが、油断は大敵。

合唱団のステートメント全文

最後に、合唱団のウェブサイトに掲載されているステートメントの全文を訳しておきます。この文章の日付は3月23日。集団感染を引き起こした練習が行われてから13日後で、「1名が死亡し1名が重体である」という現在進行系のなか書かれた文章は強く胸に迫るものがあります。

スカジット・バレー・コラールは、地域コミュニティに素晴らしい合唱音楽を届けることを目的としたボランティアの非営利団体です。2020年3月10日、ワシントン州マウントバーノンで毎週恒例のリハーサルを行いました。約55名(グループの約半数)が参加しました。リハーサル当日、スカジット・バレーでの症例はまだありませんでした。学校、レストラン、教会、ボーリング場、銀行、図書館、劇場などもまだ閉鎖していませんでした。ワシントン州からの助言は、集まりを250人以下に制限すること、でした。スカジット郡の保健当局から集会の規模に関する勧告はありませんでしたが、60歳以上の人は「大規模な公共の集い」を避けるべきだ、とは述べられていました。合唱団の理事会は議論をし、3月3日のリハーサルと3月10日のリハーサルに先立って、病気の症状がある人はそれが何であれリハーサルに参加しないように、と全員に向けメッセージを発しました。また、健康や安全に危険を感じる人はリハーサルに参加しないようにとも呼びかけました。すなわち参加するかどうかはメンバーが各自判断することになっていました。また、通常はリハーサルの出席を記録していますが、今回は記録しませんでした(訳注:これは「参加しなかった人が後から不当な評価を受けることがないよう」配慮したのではないかと思われる)。合唱団は常に、意思決定のプロセスにおいて、地元および州の保健当局の指導に従っていました。

3月10日のリハーサルから数日後、事態は劇的に変化しました。スカジット郡で最初の症例が発表されたのです。学校ではスポーツ、芸術、その他課外の集まりが中止になりました。介護施設などでは訪問者を制限し始めました。4月に予定されていた私たち自身のコンサートを含め、さまざまな活動、コンサートが中止になりました。図書館も閉鎖。連邦政府は感染を抑えるために15日間の「ソーシャルディスタンス」政策を発表しました。

そんな中、私たちのメンバーが体調を崩し始めました。14日(土)までに6人が熱を出したり体調を崩したりしていました。彼らはお互いに連絡を取り合っていて、そのうちの何人かはすでに検査を受けていました。16日(月)には症状を訴える人は20人に拡大。そこには10日のリハーサルだけに参加した人、3月3日のリハーサルにしか参加していない人、またどちらのリハーサルにも参加していない人もいました。3月17日(火)の夜、3人の陽性が確認されました。団員の一人である医学博士が郡の保健局と連絡を取り、保健局からは団員名簿の提供を求められました。保健局は3日、10日のリハーサルに出席したかどうか、症状があるかどうかに関わらず、団の全員に連絡を取りました。一人ひとりに注意深く質問をし、どのようにすべきかのアドバイスももらいました。20日(金)の段階で10人が陽性反応。現在、少なくとも21人が陽性、30人の団員および家族などが発症していることがわかっています。この病気はウイルス性の重篤な病気で、その症状や被害はまだ不明であり、私たちにはコントロール不可能です。

悲しいことに昨日メンバーの一人が亡くなり、もう一人が重体で入院しています。家族への敬意を込めて被害に遭われた方の名前は公表しませんが、保健局はこの情報を持っており、私たちはそれをこの悲惨な病気の理解と治療に役立てていただきたいと願っています。

すべての人に、社会的距離を置くことを実践し、自分自身と他の人の安全のために自分自身を隔離し、医療関係者や保健当局と連絡を取り合うことをお勧めします。これは私たちの周りにある医療の危機であり、これ以上の病気や死を防ぐため、一人一人が自分の役割を果たす必要があります。

https://9b3c1cdb-8ac7-42d9-bccf-4c2d13847f41.filesusr.com/ugd/3e7440_635a114fead240e1a02bc2c872a852de.pdf

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まとめてあります】合唱とコロナに関する当ブログの記事一覧は以下ページにまとめてありますので併せてお読みください↓

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