ウィーン襲撃事件の夜、ウィーン国立歌劇場で起こったこと

ウィーン国立歌劇場は3日から、つまり昨日から閉鎖していますが、その前日、つまり最後の日の演目はマルコ・アルミリアート指揮の《道化師》でした。主演はアラーニャ。

https://www.wiener-staatsoper.at/en/season-tickets/detail/event/973708914-cavalleria-rusticana-pagliacci/

ジョーカーよろしく顔を白く塗りたくって大きな口になったロベルト・アラーニャがゴッサムシティを統べる!!のではなく「笑え道化師よ」と絶望して殺人事件を起こす。その同じ日に現実世界でも大事件が起こってしまった。テレビのニュースでもやっていましたから皆様もこの襲撃事件についてはご存知かと思いますが、本当に恐ろしいことだ。

https://www.bbc.com/japanese/54789566

事件が鎮圧されたのは20時09分だったそうです。この日《道化師》は、詳しい方はご存知と思いますが例によってもう一つのオペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》との2本立てだった。カヴァレリア・ルスティカーナ後、休憩に入った20時40分ごろには劇場にもニュースが入っていたそうです。中止も考えたようですが、結局そのまま道化師も上演されたそうです。

終演後にウィーン国立歌劇場は何が起こったか。お客はしばらく客席に留まることを要請されたようですが(警察に守られながらまず子供たちを含む家族が退出したのが23時15分ごろと書いてあったから、早かった人でも終演後1時間ぐらい足止めされていたことになります。なお最後の客が劇場を後にしたのは日付が変わってからだったそうです)、不安が満ちる客席に、なんとオーケストラのメンバーが戻ってきて、弦楽四重奏を演奏したのだそうです。ハイドンの弦楽四重奏曲第77番《皇帝》の第2楽章。かつてのオーストリア帝国の国歌です(いまはドイツの国歌)。実際の映像を投稿している人がいます。

これはどう控えめに表現しても素晴らしい対応。こういうとき音楽っていうのはやっぱり心に何のわだかまりもなく直接スッと入ってくるものなので、客席は落ち着いたと思います。上から目線でもなんでもなく、演奏してくれた団員には惜しみない賛辞が与えられて然るべきと思いますし、歌劇場も誇りに思っているはずです(下手にリリースなんか出すとあざといからやらないでしょうけど。こうして動画で投稿され拡散して日本まで届いてますからそれで十分)。

ハイドンの皇帝にしよう、ってすぐ決まったんでしょうか。落ち着く音楽、いいすよね。ここでレ-ミ♭-ド-シ(※)とかやったら余計不安になるもんな。タイタニックで最後まで楽師たちが演奏を続けたっていう、あの映画のシーンが思い出されてじーんと来ました。

※・・・ショスタコーヴィチの「不安を掻き立てる可能性のある」弦楽四重奏曲のこと。

なんやこれフランス語吹き替えやな。「ボンションス」とか言ってるけど、ま、いっか。

ORF(=オーストリアのNHK)のサイトにコンツェルトハウスやブルク劇場などでもお客が足止めされたというような事が書いてあります。詳しく知りたい方は以下URLへ。

https://wien.orf.at/stories/3074237/

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