昨晩0時を回る直前に羽田に到着したZUEV「僕は日本に来ることはもうないと思っていた。コロナ で2回コンサートはキャンセルされた。そして今度はロシア人だからもうダメだと。三度目に呼ばれた時はコンサートの入りが悪いと聞かされて、直前にキャンセルかもしれないと腹を括っていた。だからとうとう日本に来たのだと、まだ実感がわかない」
悪い事は予めと思い入場者数は伝えてあった。「主催者の懐を利さないなら動員は労力と時間の無駄だ。自分だって聴きたいものはチケットを購入していくのだから、聴きたい人にはそうしてもらいたい。次のお声が掛からなければ、それだけの事。それ以下でも以上でもない。そんな事にエネルギーを使うより、演奏をするために、良い演奏を聴き、本を読み他にやる事はいっぱいある。やりたい事が多すぎて時間がないのです」
今迄演奏会のホールの入りとかそう言う事を気に留めた事がないので記憶があまりないと言うZUEVは語る。
ただ今明後日の子供のプログラムを練習しているので「それは明後日にやれば」と言うと「子供が一番怖いんだ。子供は見抜いてしまう。子供こそ騙せない」全てに全身全霊を傾けるこの音楽に対峙する姿勢がリュビモフをして一番自分に近いと云わしめる彼の人となりだと再認識した。恐らく、今後このクラスのピアニストをMCSの舞台に迎える事が人生の内に何回あるのだろうかと思い、予定に反して練習を結局全部聞いてしまったワンおばちゃんである。