天才か、それともこれは児童虐待なのか?
クラシック音楽史上最大の神童と言えば誰でしょう。私がその質問にきっぱりとお答えするなら「そんなんわかりません、ものさしで測れるようなもんでもありませんしねえ」というようなことになると思うのですが(全然はっきり答えられていない)、一般的によく言われるのはモーツァルトやサン=サーンスあたりですか。
モーツァルトやサン=サーンスは3歳で作曲を始めたとか言われていて、当然のことながらピアノ含めいろいろ楽器をその頃から弾いています。面白いのは「ピアニストやヴァイオリニストには子供の頃から楽器に親しんでいないと絶対になれないが、作曲家を目指すのは遅くからでも大丈夫」という点なのですが、とりあえずそれはおいておきましょう。
今日話題にいたしますのは、アメリカの3歳児がカーネギーホールの舞台に立つ、というお話なんですよ。なんやなんやすごいなドヤドヤ。なお、いわゆる有名な「大ホール」ではなく、さらには「中ホール」でもなくて、268席の「小ホール」な点と、カーネギーホールの主催ではなくて貸し館(かしかん、と読みます=お金を出してホールを誰かが借りている)であるということ、その2点はお気をつけ下さい。
『はたち過ぎたらただの人』という言葉がありますけれど、3歳というのはさすがにまだ神童ではなくて神童の卵あたりかと思うのですが、そこから神童へ、さらに神童から真の芸術家へと成長できるかどうかは誰にもわからない。本人の素質に加えて努力、さらに運の要素もかなりあります。
なので、この時点での彼女を絶賛するのではなく、この後うまくいくといいね、でもうまくいかなくてもいいよ、そんな感じでゆるく見守ってあげるべきです。でなければうまく行かなかったときのダメージが親子ともども大きすぎる。取り返しがつかないほどに家庭が崩壊しても困っちゃいますしね。
それで、その3歳児がどんだけ弾けんのか、とか思うんですが、このカーネギーデビューをお膳立てしている《エリート国際音楽コンクール》と名付けられた子供のためのコンクールの主催者(ニュージャージー州)が「この子は例外的にすごい」とか言っているので、恐らくそのとおりなのであろう。
大人の演奏ばかりを聞いている我々とは違い、大勢の子どもたちの演奏を聞いてきた人がすげえ、っていうんだからたぶん例外的にすごいんだろうなと思います。
ちなみにエリート国際音楽コンクールの公式サイトは以下URL。興味ある方はどうぞ:
https://www.elitemusiccompetition.org/
この子の名前はブリジット・シーと言いまして、ブリジットとは言うものの、顔つきからして中国系ですねおそらく。カーネギーホールの舞台に立つのは今年の11月だそうなので、その頃にはさらにもっと成長しているであろう。ちなみにモーツァルトを演奏することになっているそうです。モーツァルトといってもいろいろありますが、さすがに幻想曲ニ短調を弾いたら椅子から転げ落ちる。
実際に演奏している様子を捉えたニュース映像: