目を疑うようなタイトルであります。Beethoven is Black。まじかよ。いいのでしょうかこんなにはっきりと書いちゃって。
どういうことか。英語を学び始める中学生ぐらい以上の方ならこの言葉の訳はおわかりになるでしょう。ベートーヴェンは黒い、あるいは「ベートーヴェンは黒人である」。なるほど。これは穏やかではない。
ベートーヴェンに黒人の血が入っていた、と主張をする人たちがいて、実はそのはじめての主張は少なくとも1907年に遡る、いわばかなり古くからあるものなのですが、その理由はというと「ある肖像画でベートーヴェンの肌が大変濃い色で書かれている」というものでありまして、それ以外の画は大体(ぜんぶ?)白人っぽいのだがそれは当てにはならない、という、普通に考えていくとあまり合理的ではないと思えるような主張ですがどうでしょう。
ノーベル賞受賞者である南アフリカの作家ナディン・ゴーディマーは2007年に「ベートーヴェンは16分の1黒人だった」という小説を書いたそうです。しかしなんせベートーヴェンの写真が残っているわけではないので、もしかすると本当に褐色だったのかもしれない。それは否定出来ない。
ベートーヴェンと黒人という意味ではあの大変有名な《クロイツェル》と呼ばれるヴァイオリン・ソナタ第9番が実はジョージ・ブリッジタワーという才能ある黒人ヴァイオリニストのために作曲されたんやぞ、という点は知られておりますが(その後絶交したためクロイツェルに改めて献呈されることになったが、クロイツェルはこの曲を一度も弾かなかった)、ベートーヴェン自身が黒かっただなんてさすがにそれは言い過ぎに思えるのですが、どうでしょう。
なんでこういうことを書いているかと言いますと、オランダに、本当にベートーヴェン・イズ・ブラックというウェブサイトがあるからなんです。
驚くようなタイトルに目を引きつけられたのですが、実際にこのサイトを見ていきますと、ベートーヴェンは黒かったという強い主張があるわけでもなさそうで、どちらかと言うとベートーヴェンは革新的な音楽家だった。なので、現代の我々もクラシック音楽に革新を、黒人の音楽を、有色人種の音楽家たちをもっと聞こうぜ、というぐらいの感じのスタンスのように思われます。ダイバーシティつまり多様性、インクルージョンつまり多様性を受け入れること。
にしてもちょっと刺激的すぎるタイトルとちがいますかこれは。
いずれにせよ大切なことは歴史、過去について思い巡らし、より良い未来を目指す、という点でしょうか。困難であるということを知りつつも、差別というもののない、より生きやすい世の中を目指して、誰もが日々努力を続けるべき、ということだと思います。
それでは私もより良い未来を目指しできることから、、、、。娘ちゃんと遊んできます。再来月で2歳にならんとする娘ちゃんはおさるのジョージとアンパンマンが大好きだ。試しに娘ちゃんの方を向いて「顔が汚れて」と言ってみるがいい。悲しい顔をして「チカラ、デナイー・・・」と言ってくれるであろうから。