「やばい」はうちでは禁止ワードなんですよ。お汚いお言葉、ごめんあそばせ。安っぽく見えるタイトルにしちゃってごめんなさい。
だが、しかし、これは控えめに言って「やばい」と表現して全く問題ないと思います。高齢な方のピアノ演奏というのはYouTubeなんかで時折見つけることができるわけですし話題になったりもするのですが、この女性、コレット・マゼ(マズと読むのかも)さんはなんといま、107歳!しかも、高齢の方の演奏というのは脂の抜けきった、乾いたドライな演奏が多いのに対し、彼女の演奏には細かな感情が注入されている・・・!
4月に公開されたこのインタビュー動画を見てくださいよ。ドビュッシーの《水の反映》を弾く106歳とか信じられない。息子さんも出てきますが、息子さんも80代とかですよねこれ。
6月16日がお誕生日だったということなので1914年うまれということだ。まじか。第一次世界大戦が始まる前や。サラエボ事件よりも前やぞ。ラヴェルの愛国心が超高騰して戦争に志願して出かけるよりも前やぞ!!ぐおー、やばいやばいやばい。彼女が愛してやまないドビュッシーもまだまだ存命やぞ。《春の祭典》がシャンゼリゼで初演された翌年やぞ!!ぐわあああ!!
取り乱しまして申し訳ありませんでした。生粋のパリジェンヌでありますコレットさんは、5歳からピアノを始め、パリの名門音楽院、エコル・ノルマルでアルフレッド・コルトーとナディア・ブーランジェに学んだ。おおお。
また取り乱しました。この動画もみてくださいよ。99歳の時に弾いたドビュッシーの前奏曲「オンディーヌ」(水の精)です。この曲を知っている人なら、さすがにラヴェルの書いたオンディーヌほどにはエネルギーが必要な曲ではないことはご存知かと思いますが、エスプリが詰まっていて、敏捷な指の動きが求められることもよくご存知でしょう。
なんとしゃんとお弾きであることか!!精妙な輝きが溢れていてタッチもしっかりしていて、なんなら「クラウディオ・アラウです」と言っても通じるであろう。
この動画を紹介しているクラシックFMによると、いまでも一日4時間練習をしているといいます。なんということだ。84歳で初のアルバムをリリースし、103歳でドビュッシーのアルバムをリリースした。今年4月にリリースした3枚組の(そして合計で6枚目となる)CDは「ドビュッシー」。モンポウやピアソラ、ヒナステラなんかもお好きだそうです。いやはや!ラテンだね!やばいね!
そんな彼女の長寿の秘訣は「1日4時間のピアノと3個の新鮮な卵、そして1杯のグラーヴ」。グラーブってのはボルドーワインっすね。フランス人ならワインは欠かせない。そしてチーズとチョコレートも欠かせないのだそうで。うっはー、実にフランス的な感じでめっちゃ最高や。そして彼女のモットーは「常に前進すること」。
やばい。やばいがもう止まらない。
今日は朝からすごい元気をもらいました。ひどい雨降りですが、良い週末を。