東フィルで「アソシエイト・コンダクター」のタイトルを持つ指揮者チョン・ミン(チョン・ミョンフンの息子)が、英国随一の音楽事務所アスコナス・ホルトに所属することになりました。
https://www.askonasholt.com/askonas-holt-signs-conductor-min-chung/
アスコナス・ホルトのサイトをみますと、担当するのはJessic Wadeyという方だということがわかります。もう少しウロウロしてみると、この方は2017年入社で、ほぼ指揮者専門で仕事をしている人で、社内のポジションとしてはアシスタントマネージャー。マイケル・ティルソン・トーマスやエマニュエル・ヴィヨームなんかいわゆる大物指揮者担当のアシスタントを務めながら経験を積んでいるところでしょう。加えて若い指揮者の主担当をすることで、さらに経験値を上げていく、アーティストとともに成長していく、ということでしょう。
本を出すには編集者が必要で、指揮者にはよいマネージャーが必要。指揮者というのは何十人もの気難しい演奏家たち集団を短時間でまとめ上げて自分の音楽を作り上げていく、という激烈に難しい仕事の繰り返しなので、マネージャーは秘書ではまったくない。単なるスケジュール管理係ではないのであります。
仕事をとってくる(=お金を得る)という主な業務だけでなく、計画を立てたりアドバイスをしたり、話を聞いてあげたり、必要であればお小言なんかもガミガミったりするなど、いろいろさまざまな仕事が求められるのであります。そうしてアーティストとの信頼関係を築いていく。若いアーティストが成長していって「稼ぐ」ようになってくると、逃げられないように(ほかの事務所に移籍されてしまわないように)する、という人たらし的な能力も求められる。なかなか難しい。
移籍といえば昨日はもうひとつニュースがありました。フランチェスコ・ピエモンテージというピアニストが、これまでインタームジカという事務所に所属していたところ、ハリソン・パロットに移籍したそうです。
「望む仕事がない」「担当者や会社の考え方と自分の考え方がしっくりこない」「ちょっと気分を変えたいかも」などの理由があってアーティストは事務所を移籍します(事務所がアーティストを手放すケースもあり)。人によっては、そんなに次々と音楽事務所替えて大丈夫ですか、っていうほどコロコロ替えていく人もいます。ピエモンテージのケースも、移籍に至るまでにさまざまなやりとりがアーティストと音楽事務所との間であったはずです。
そう、音楽事務所の現場では、なかなか表立っては見えてこないものの、様々なことが起こっているのです。ってあまりタイトルと関係のない話に終止してしまいました。