その昔、私がヴィーガンなる言葉を知ったのは、かれこれ15年ぐらい前のことだったでしょうか。ある英国のピリオドオーケストラの招聘に関わったときで、合唱のメンバーにヴィーガンの方がおられたのでした。
ベジタリアンと一緒に「この方はヴィーガン」と食事リクエストが来たので、なんのこっちゃ?と疑問に思いつつ、ベジタリアン的な人であろうと理解した、というのが最初の印象でした。そして調べてみたらそれがやはりそういう感じというか、よりストイックな感じなんだな、ということがわかったのでした。
それがいまや時は流れ、ヴィーガンカフェがうちの近所にもできるほど、世の中にも広く知られるようになってきたのかなと思います。個人的にはヴィーガンには全く賛同しませんし自分の子どもにもそうはなってほしくないですけど、そういう生き方を選択する人もいるようだということは知識として知っています。
でも待って、ヴァイオリンとヴィーガンって、どういう???ヴァイオリンって動物関係ないんちゃうの。
https://www.theviolinchannel.com/luthier-creates-the-first-vegan-society-certified-violin/
ところがどっこい関係あったらしい。このヴァイオリンは動物に由来する素材を一切使用していない。SDGs。
イギリスのマルバーンヒルズっていうところに拠点を構える工房にて依頼を受け製作されたヴァイオリン、それがこのたび、晴れてヴィーガン協会のお墨付きをもらったということだそうでございます。お値段は8000ポンド(124万円ぐらい)。
もっとも重要なポイントは接着剤のようで、通常は動物由来の膠(にかわ)を使うところ、それは使っていないんだそうです。具体的に何を使ってるのかは書いてありません。
製作者Padraig O’Dubhlaoidh氏(名前読めません。かろうじてアイルランド人ってことだけわかる。パドレイグ・オドブラー、とか読むのでしょうか。難読や。)のコメントによりますと「動物を由来とする接着剤がヴァイオリンに悪影響を及ぼし、木製の部品に不必要な張力を与えている。だがこのヴィーガン・ヴァイオリンに使われている接着剤にはそのようなものはなく、倫理的かどうかはともかく音響的な改善である」「倫理的にヴァイオリンを演奏できない潜在的なヴィーガンの音楽家がどれだけいるのか。それはひどいことだ。いま、世界は大きく変化している。特に若い世代が変化をもたらしている。私はそれを誇りに思う」
象嵌(パーフリング)ももちろんアニマルフリー。「蒸した梨を黒く染めたもの、それからポプラで」「染色には野生のベリーが」「世界初の100%ヴィーガン・ヴァイオリンは、伝統的な道具と手法を用いて作られています。天然の染料と、工房の裏手にあるマルバーンヒルの花崗岩の地下深くから湧き出る水を使って、手作業で作られています。」
なんか健康そうでおいしそうに響く。
ところで弓はどうなっているのでしょう?馬の毛を使っているのかな?そこがわからないんですが、ヴィーガン協会に登録されたのはヴァイオリン本体だけで、弓や弦は登録されていない、と書かれているので、馬の毛に代わるものはどうやらなかったようだ。
とうもろこしのひげじゃだめなのか(当惑)。