あの人はいま、という言葉があります。過去に輝いていたが最近見ないな、あの人は、いったいいま、何をやっているのかしら、何をやっているのでしょう。そういう意味合いです。
スタニスラフ・ユデニッチ(Stanislav Ioudenich)は旧ソ連ウズベキスタンの首都、タシケント出身のピアニスト。1971年うまれ。50歳。ユデニッチの名前を有名にしたのは2001年のヴァン・クライバーン国際コンクール。このコンクールで優勝し、その名前を上げた。
私はこのときコンクールに参加していたあるピアニストから直接話を聞いたことがあって、セミ・ファイナルが終わった段階で、ユデニッチの優勝は確実視されていたんだそうです。ところがプレッシャーに負けたか、ファイナルの演奏は今一つ。その結果、オルガ・ケルン(カーン)と優勝を分け合うこととなった。
その後も残念ながらピアニストとして大成功を収めることはなく、すっかり名前が消えていってしまった。このように一般的には、あるいはコンサート界隈では思われているかもしれない。しかし、ユデニッチの名前は、教師として有名になって来ている。「ユデニッチに師事」というフレーズが、有望な若手ピアニストのプロフィールに徐々に出てくるようになったのだ。
そうか、ユデニッチは教師として歩んでいるんだな、素晴しい!とぼんやりそのように理解しておりましたが、このたび大ニュースであります。
ユデニッチ、ソフィア王妃高等音楽院(スペイン、マドリード)のピアノ科教授に就任
https://www.cantabriadirecta.es/69504-2-noticias-cantabria-santander-piano-fundacion/
ロシアの偉大なピアノ教師ドミトリー・バシキロフ(バレンボイムの義父)が、この音楽院が設立された1991年から昨年の3月7日(ほぼ1年前)に亡くなるまで務めた名誉ある職で、ミラナ・チェルニャフスカがその後を務めていたが、来シーズンからユデニッチに交代するというお話。チェルニャフスカ先生がなぜ2シーズンで去るのかは不明。
実はユデニッチ自身、かつてこの音楽院でバシキロフのもとで4年間学んでいて、その意味においても正当的な後継者と理解出来る。
さっそくユデニッチ教授クラスの生徒募集が始まっていて、締め切りは3月28日。日本の若者も野心を奮い立たせ、以下ページへ、応募へGO!
https://www.escuelasuperiordemusicareinasofia.es/en/application
ユデニッチ教授のますますのご活躍を。そして21世紀のピアノ界に有望な若手をじゃんすか育ててほしい。