テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナのパリ・フィルハーモニー公演が中止になりました。ロシア第二の銀行であるVTBによる支援をうけていて、ロシア政府やロシア政府に近い機関とは現状協力関係を結べない、というのがフィルハーモニーのコメント。
一方、在オーストリアのウクライナ大使Wassyl Chymynez氏はオーストリアのクローネン・ツァイトゥング紙のインタビューにおいてクルレンツィスとムジカエテルナのザルツブルク音楽祭への出演について、以下のように激しく非難しています。
「ザルツブルク音楽祭への出演はまったく間違った、非人道的なサインである」
「もし彼(クルレンツィス)が黙っているのなら、彼がこれらすべて(=戦争)を容認していることは明らかである」
「プーチン体制とプーチンの背後にいてプーチンを支持するロシア社会の一部である。このような人々が自由な世界で、世界的に有名なザルツブルク音楽祭というステージに立つことは不道徳なことである」
「もしザルツブルク音楽祭がこれを理解する用意がないのであれば、経済的側面ばかりを優先させることになり、音楽祭の担当者は自尊心を失う危険性がある」
「芸術、文化、スポーツは間違いなくロシアの政策の重要な要素であり、ロシアの攻撃的プロパガンダの重要な要素でもある。クルレンツィスの場合も同じで、芸術がロシアのプロパガンダを大量に広め、ロシアの犯罪を正当化するために利用されていることは明らかだ」
「芸術や文化はロシアにとって政治の一部である。プーチンが演説の中でアーティストがいかに強くプーチンを支持しているか言及する例を何度も目にしてきた。このようなアーティストはプーチンの野蛮な戦争を正当化し、それによってたくさんのお金を得るのである。そしてそのアーティストたちは西側世界では非政治的であることを示そうとするのだ」
ウィーン公演2公演は行われ、ハンブルクの公演も行われた。パリ公演は中止。ザルツブルク音楽祭はどのような判断を下すのか。開催するしないに関わらず何らかのメッセージが出されてしかるべきではないでしょうか。