ベートーヴェンの9つある交響曲を一日で一人の指揮者が2つのオーケストラ(ドルトムント響、ベオグラード・フィル)とともに演奏するコンサートがありました。先月19日にドルトムントで、27日にセルビアで2回実施され、話題が沸騰しているというか、どちらかというと音楽ファンからは否定的な意見が大勢を占めているようであります。
けんけんごうごう、かんかんがくがく場外乱闘をやっている現場ならこちらです。なかなか殺伐としているので、ナイーヴな方は下のURLはそっと通過してください。
https://slippedisc.com/2022/06/all-9-beethoven-symphonies-in-a-day-first-review/
このイベントを「世界初の試み」と勘違いしている人も多く、日本人として私はもやもやするわけであります。「毎年大晦日に東京文化会館でやってるやんけ」。マゼールだってこの大晦日のベートーヴェンマラソンに一回参加してるんやぞ(2010年12月31日)。ところがヨーロッパの人々はそれを知らないようだ。これは残念なことであるなと思いました。
日本でのイベントはヨーロッパでは無視されている、あるいは伝わっていない。これは物理的に日本が遠いということもありますが、日本という国のクラシック音楽イベントがヨーロッパにおいて重視されていないどころか、話題にすらならないということの一つの証拠なのです。
事実、上のURLでは「日本でマゼールが2010年にやってるよ」とコメントしている人がいますが、ほぼ黙殺されています。悲しいね。
それと、マゼールは1988年にロンドンで3つのオーケストラを使って1日で全曲っていうのもやっています(以下URLは有料です):
蛇足ですがこのNYタイムズの記事中に「昔アントン・ルビンシュタインは6時間のリサイタルをしたし、ベートーヴェンのソナタ12曲とかの演奏会もあった」とか書かれていて、マラソンコンサートは19世紀にもあったのだ、ということを知ることが出来ます。おもちろい。
もっとベートーヴェンマラソンとか、ショスタコーヴィチマラソンとか、そういうのを日本から国際的に発信しなければなりませんね。英語での発信、なかなか難しいですし、発信力のある場を設けることも難しいですけれど。でも、声をあげなければそれはなかったことになるので、あげていかなければいけないのでしょう。
いやはや。