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メジャーオーケストラの苦悩

ニューヨーク・タイムズ紙に、ニューヨーク・フィルの話が出ました。これです↓

New York Philharmonic Cancels Season Because of Coronavirus
https://www.nytimes.com/2020/03/23/arts/music/new-york-philharmonic-coronavirus.html

刻々と変化する、しかもいま劇的に悪い方向に変化するアメリカや諸国の状況をみて、今シーズンの残りの全ての公演を中止することを決めたそうです(※)。

これはつらい。オーケストラは演奏をしてはじめて、収入が発生する。もちろんアメリカの場合は寄付による収入も相当あると思うんですが、しかし、自分たちが主催して行う演奏会のチケット収入、あるいは、依頼を受けてどこかで演奏する際の契約金、そういったものが大きな割合を占めていることは間違いがなく、これは相当な打撃だ。

記事を読んでいくと1000万ドルの収入減となるみこみ、と書いてあり、クラクラしました。1000万ドルかよ、11億やんけ。

She added that the orchestra would encourage patrons not to seek refunds for their tickets to canceled performances, which add up to about $1 million in revenue.

キャンセル公演のチケットの払い戻しはしないでほしい、と言ってます。はっきりとこう宣言するのも勇気がいると思いますが、アメリカ人のメンタリティでは「おっしゃ了解やで!」って言ってくれる人たちの割合も高いんでしょう。

上に書いてあるとおりチケット収入だけで100万ドル相当だそうです。それだけの払い戻しをしたらその作業もめちゃ大変だし、中の人のモチベーションもダダ下がりです。払い戻しってね、本当に堪えるんですよ。お金を減らすために仕事をするわけですからね・・・。やればやるだけ、お金が減っていくんだよ。

オーケストラ奏者の給料もカット。3月分は全額を受け取り、4月は基本給のみ(約3000ドル)、5月は25%カットの約2200ドル、6月以降については未定だそうです。

こんなときに給料の話をするのもどうかと思いますけど、ニューヨーク・フィル、基本給が3000ドルか。安いな。・・・って思ったあなたは大間違い、これね、週給ですから。かける4したら12000ドルやけんね。133万円じゃけえ。普通にそれをさらに12倍したら1596万円になるんじゃよ。

事務職の給与カットも視野に入っているそうです。そして来シーズン以降、人々はチケットを買ってくれるのか?という悩みもあると。

“We’re going to come through this,” she said. “I don’t see a doom-and-gloom future.”

「我々は乗り越える」「悲観的な未来は見えない」・・・・記事の最後が、決して屈しない的な、負けない的な、グレートアメリカ!なポジティブな雰囲気で締めくくられているのはさすがアメリカなんですけれど、ニューヨーク・フィルはこういう状況でもなんとかなるかもしれないけれど、危ない団体が世界的に発生していることは間違いがない。

ロンドンでもあるメジャーなオーケストラが破産の危機に瀕しているという情報が流れてきていますが、これは世界中同じやばい状況です。誰もが、我々は乗り越える、と言えればいいのですが現実はそうもいかない。待ったなし。

ニューヨーク・フィルの公式サイトにはキャンセルになった全公演のリストが出ていますが、数えてみたら室内楽公演なども含め61公演もありました。