バイロイト音楽祭の中止の報が入ってきました。「長期戦覚悟」という言葉が日本でも世の中に出るようになってきましたが、音楽業界も世界的にシビアな数ヶ月を過ごすことが確定的になってきつつあります。数週間ではなく、数ヶ月です。
バイロイト音楽祭は7月25日から8月31日までの予定でした。この中止は昨日発表されたとのことで、公式ページにもその情報が掲載されております。これもまた大きなインパクトです。どうでもいいけど、バイロイトって、よいこのみんなはアルファベットで書けますか。Bayreuthって書くんですよ。げえっ!!まじか!!ベイレウスやね。
※ドイツ語ではeuはオイって発音するんスよ。だからEUROはユーロじゃなくてドイツではオイロね。やったね!勉強になったねっ!!
中止とはいいつつ来年への延期、ということ。今年のチケットを持っている人はそのまま来年の公演に振替でそのまま入れるそうです。ただ、こういう大きな音楽祭っていうのは数年先まで演目や出演者が決まっていたりするので、そのあたりもどのようにやりくりするのか。私は部外者だからこうやって比較的冷静でいられるけど、内部の人間だったらくらくらするような悪夢だ。ひとつずつ、一歩一歩片付けていくしかないのだ・・・。
しかし、バイロイトという、世界で最も有名な真夏の音楽祭の一つが中止に追い込まれているこの状況はなんともいえないものがあります。しかも、ドイツはヨーロッパの中でも「うまくやっている」という状況のようですが、そのドイツですら、夏の音楽祭が早々に中止に追い込まれているという事実は重い。
ただ、バイロイトは行ったことはありませんが、ホール内の換気はあまりよくなさそうですよね。クーラーないし、通路もないし、出演者も客席も汗ダラダラなんでしょう?それ考えるとまあ、ちょっと厳しいとは想像できますね。
さて、私たちには海外の音楽事務所に友人知人がいますので、それらの人たちの反応や考えを集めています。今後どのようになっていくか、みな注視しています。個人名を出すことは差し控えますが、幾人かの業界関係者のコメントを以下に記載いたしましょう。欧州の状況が少しは見えるかな、と思います。
●台湾人(ドイツ在住)のコメント:もしかすると今年いっぱい、ヨーロッパではコンサートはないのではないか。台湾はうまく封じ込めているが、経済活動もストップしており、今後コンサート業界がどうなるのか全く先が見えない。自分たちは今年いっぱいコンサートが全くなくともキャッシュがあるので大丈夫だが、もし来年も全くコンサートがない、という状況になったら自分たちもジ・エンドだ。
●ドイツ・ハノーファーの音楽事務所:ドイツはうまくやっている方だと思う。街なかも平穏で、スーパーにもものが十分にある。フランスやイタリア、あるいはスペインは悲惨なようだが、ここはそれほど制限も厳しくない。犬の散歩もできるし公園にも行ける。人とすれ違うときはめっちゃ距離あけるけどね。ドイツのホールは4月や5月中旬までの閉鎖を既に発表しているが、それが延長となることは確実だ。全く先が見えず、ただ収束を願うしかない。いろいろなコンサートが延期、中止になっており、それを振り替えるパズルに今てんてこまいである。今の所だが、今後のコンサートのギャラが下がるという現象は起こっていないが、下がらないことを願うのみである。
●オランダ・アムステルダムの事務所:ここはみんな大丈夫だ。健康だ。政府はうまく機能していると思う。ただしコンサートはない。自宅からのテレワークだ。
●スイス・バーゼル在住の音楽家:自分含め、仲間や家族はみな大丈夫だ。君たちは大丈夫か。
●スペイン・マドリードの旅行代理店:スペインは非常に厳しい状況だ。トンネルの出口が全くみえない。夏以降のプロジェクトについてはたくさんあるが、どれも現状キャンセルはない。ともかく、ポジティブに考えるしかない。
●イタリア・ミラノ近郊に住む私の兄:スーパーにものがないというのはデマ。ものは溢れている。外を歩くのもそれほど不便はしない。決められたルールに反すると罰金はあるけど、そんなに厳しいルールだとは感じていない。これは長くなりそう。
これらは限られた個人の、2020年3月末現在の意見であり、毎日刻々と世の中は変化をしているので、今後意見がかわってくる可能性は十分にあります。またこれはあくまで欧州の一部の地域の関係者の、欧州に限定した発言である、ということも念頭に置いておいてください。