合唱はコロナ感染のリスクが高い!
合唱団の皆様。すでにご承知の方も多いとは思いますが、合唱はリスクが高い事を知っておいてください。一気に感染が拡大する可能性があります。
オランダのアムステルダムで起こったケースをこのブログでもお知らせします。いや日本は大丈夫でしょ、そもそも感染が大爆発した3月と今とでは状況が違う、と言って無視するのではなく、とりあえず読むだけでも読んでください。
早く活動を開始したい、そういう意見があると私にも聞こえて来るのですが、今はまだおすすめできません。じゃあいつならいいのよって言われそうですが、はい、すいません。わかりません。多分「ワクチンが出回るまで無理」と思ったほうがいい。
日本は大丈夫、なのか
日本は欧米とは違う、と、これまでの状況から皆さんなんとなくふわっと感じておられるのではないでしょうか。政府の対応には不満があるが、日本はうまくやっているようだ。実際そうなのかもしれません。今は波が収まってきていて、第二波とかへの不安もありますけれど、人々の気持ちは少しずつ外を向きはじめています。
加えて「騒いでいるのは東京だけなんじゃないの」という言葉もあります。それにどうもほとんどの人は重症化しないようだぞ。
とはいうものの、自分がかからないという絶対的な保証はなく、かかったら死ぬ可能性あり、しかも後遺症がやばいかもしれない、という話も出てきています。恐れ過ぎは良くない、それは私も同意しますが「正しく恐れる」ことも重要です。
あと、大丈夫だという言う方も「怖い」という人たちがいるという事は理解しないといけません。怖いと言う人たちにオウムのように繰り返し「大丈夫」と言うだけでは不安は除去されないしほぼ「すれ違い」「平行線」で終わります(怖い人からすればこの逆の意見で大丈夫派とすれ違うことになる)。
ワクチンが出来て世に出回り、大丈夫!という専門家からのお墨付きがでるまでは安心できないだろうし、お墨付きが出たとしても、みんなが「大丈夫だ」と思えるようになるまでにはさらに長い道のりがあるかもしれないのです。
昨日オープンした山形駅前の新しいホール、やまぎん県民ホールの暫定ルールも見てください。大ホール2001席のところ、利用制限としてなんと最大50名になっています。しかもこの数は出演者スタッフ客席すべて含めて、ということです。やりすぎっていうご意見もあるかもしれません。でもコロナに関してまだわからない事だらけの現状なんで、判断は妥当だと思います。50名なら50名で始めて、これで大丈夫ってことになったら段階を踏んで緩めていき、感染があったらまた厳しくする、また緩める、という道をゆっくりと歩むしかないと思いますよ。世界レベルで。
あと、
●クラシック音楽では演奏側も聴衆側も高齢化が進んでいるのでリスクが高い。
これも常に頭の中においておくべきです。
オランダの合唱団で起こったこと
というわけで、合唱団。まずは数日前に私のところに流れてきたこのツイートをご覧ください。
アムステルダムコンセルトヘボウの3月8日マタイ受難曲の演奏会の合唱団メンバーとその家族合計4人が亡くなり、指揮者、ソリストを含む総出演者130人中102人が新型コロナ症状を出現したというニュース。https://t.co/7bnion5NKq
— vismet🇧🇪 (@vismet) May 10, 2020
あれっ、このアイコン画像なんか見覚えあるな、、、、と思ってたんですが、あっそうだこれ大学の先輩だ、アントワープ在住、私がベルギーにいた時もお世話になった・・・・・・と思い出したのは1日ぐらい経ったあとの事でした。すいません申し訳ありません。
※このツイートではマタイ受難曲と書かれていますがヨハネ受難曲です。この後ツイート主の修正コメントあり。
ご覧の通り1200を越すいいねとリツイートが付ついています。このツイート以外にも他の方のツイートでも拡散されていますので、これはかなり周知されていることだろうと思っていましたが「知らない」というコメントを複数の方から頂戴したので、このブログでも採り上げることといたしました。
ソースはオランダ語で書かれたニュースなんですが、日本語になっているのはなさそうなので、ざっくり訳してみます。オランダ語→機械翻訳で英語→私が日本語、という重訳です。 もともとのニュースが事実を淡々と書いた簡潔な記述なのでそう大きく間違ってはいないと思いますが、明らかな誤訳があったらご指摘ください。
「たった一回の受難曲上演が悲惨な結末をもたらす」(Trouw紙、アムステルダム)
https://www.trouw.nl/verdieping/die-ene-passion-die-wel-doorging-met-rampzalige-gevolgen~b4ced33e/
● Het Amsterdams Gemengd Koor 「アムステルダム混声合唱団」:団員130名。アマチュア。
●1928年創立。団員の平均年齢は50歳を越えている。
●毎年2、3公演をアムステルダム・コンセルトヘボウで開催している。
●3月8日(日)夜、コンセルトヘボウにてJ.S.バッハ「ヨハネ受難曲」公演実施。
●聴衆は約1000名。数名感染?(「聴衆の感染はほぼなし」)
●5日後に同ホールは閉鎖。
●団員102人(約78%)が発病、重症化数名。
●78歳の合唱団員(1名)が死亡。
●団員の家族3名が死亡(恐らく上記団員とは別の団員の家族)
●指揮者も重症化(のち回復)。
●管弦楽を務めたオーケストラのメンバーも多数発病。
●エヴァンゲリスト、イエス役を含むソリストも感染。
●北イタリアや南オランダでの感染爆発との直接的なコンタクトはなかったとされる。
●もちろん葬儀には立会不可。認められたのは花を送ることだけ。
これがようやく今になってニュースになるっていうのはなんでかなとも思いますが、状態が落ち着いてきて団員から詳しく話を聞くことが出来た、という感じじゃないでしょうか。オランダ語の新聞記事に続いてフランスでも記事になっていたりするんで、わりと国際的に「うわっ、合唱はやばいのかも」って思っているんじゃないですか。仏のフィガロ紙↓
オランダの新聞によるレポートを抄訳
新聞では時系列を追って詳しくレポートが書かれています。これがまた震える。抄訳:
2月25日:リハーサル。その2日後「オランダで初の感染者」のニュース。
さらに2日後、コンセルトヘボウより合唱団にメール「コンサートの開催が観客を深刻な危険にさらす可能性がある場合、コンセルトヘボウは一方的にコンサートを中止することがある」と通告(今後利用予定の全団体への一斉送信)。
3月3日:最後の練習。オランダ国内100名を越す感染者(毎日40名程度の感染者増加)。合唱団にも数名体調不良者あり。
3月7日:コンサート前日のドレス・リハーサル。アムステルダム郊外のGeert Grooteschool(小学校かな?)にて。会場は十分な広さがあり、ぎゅうぎゅうづめというわけではなかった。休憩中にはコーヒーを淹れ密で談笑。リハーサルには合唱団、オーケストラ、ソリスト6名の全員が参加。合唱団15名が体調不良を訴える。だがそのうち数名は体調不良をおしてコンサートに出演すると明言。この日オランダの感染者数300名を超える。しかしコンセルトヘボウからは健康のリスクに関する連絡はなかった。コンサート開催へのシグナルはグリーンだ。
3月8日:公演当日。30名を越すメンバーが体調不良。まともに歌えないソプラノも数名いた。1000名の聴衆からの発病者はほぼなし。その5日後にコンセルトヘボウは閉鎖される。
コンサートの後、合唱団の携帯?にひっきりなしに電話。団員からは次々と感染の連絡あり、恐怖心から電話をかけてくる人もいた。
GGD(保健所)に合唱団のメンバーの検査をしてもらうように頼んだがなかなかかなわなかった。保健所は合唱団の6人を検査するといったが、結局1人しかテストを受けられなかった。近距離で歌い、どうやら感染爆発が起こっていたようなのに保健所の動きは遅かった。家族、親族も感染していた。
何人かは人工呼吸器をつけることになり、4週間入院したままの人もいた。
同合唱団のコンサートは1928年から第二次大戦の間を除きずっと行われてきた。今年の11月22日にはコンセルトヘボウでハイドンのオラトリオ「四季」が予定されているが、少なくともコンセルトヘボウでの開催は無理だろう。1.5mのソーシャルディスタンスを考慮すれば、ホールは狭すぎ、客席に空席を設けなければならないのであれば、ホール代は高すぎてペイできない。曲を勉強する時間もない。
https://www.trouw.nl/verdieping/die-ene-passion-die-wel-doorging-met-rampzalige-gevolgen~b4ced33e/
以上です。
ヨハネ受難曲知らないって言う方のために動画貼っておきます。伝説の伝道師カール・リヒター&ミュンヘン・バッハ。 正味2時間ぐらいの曲です。ずっと合唱が歌いっぱなしというわけではありません。休みも多いです。古い演奏なんでもっさり感じますけれど(印象には個人差があります)、時々映る合唱団を見てください。130人って言ったらこれぐらいの規模かな?
合唱団のウェブサイトに(このヨハネ受難曲の演奏会の模様ではほぼないですが)彼らが実際にコンセルトヘボウで歌っている画像が出ています。イメージがつかめない方は合唱団の名称で検索してみてください。
合唱関係者の皆様、コロナにはお気をつけください。
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【まとめてあります】合唱とコロナに関する当ブログの記事一覧は以下ページにまとめてありますので併せてお読みください↓