「グァルネリ」という名前を知っている人はなかなか世の中に居られないでしょう。超有名な弦楽器製作者の名前ですが、ストラディバリウスなら辛うじて知っている人でもグァルネリやアマティ、ガダニーニ、といった昔の一流どころの製作者たちの名前まで諳んじているというところまではなかなか行きますまい。
つまり広島お好み焼きを知っていても大阪のモダン焼きは知らないとか、たこ焼きは知られているが明石焼きは知られていない、とかそういうことだと思うんですよ(なんか違うような気もするけど)。
そして、ご想像の通りアマティやグァルネリやガダニーニ、ストラディバリっていうのは弦楽器製作者の名字なんですが、いずれも複数のアマティさんグァルネリさんガダニーニさんストラディバリさんがいるんですよ(ウスはどこへ行った?)。
昔はこういう職人っていうのは個人でやるんじゃなくて、家族でやっていた人も多かった。一子相伝じゃないですけど、家族や親族に技術を伝えて行ったというやつです。一族郎党みな弦楽器製作者だったりもするのです。
その中でも特に腕のいいのがいて、アマティ一族ではニコロ・アマティさんっていうひとの楽器が一番有名だったりしますし、グァルネリ一族では「デル・ジェズ」のあだ名のついたバルトロメオ・ジュゼッペ・アントニオ・グァルネリさんのものがとりわけ有名です。もちろんこの長ったらしい名前を私は記憶しているわけではなくて単にコピペしているだけですのでそこのところよろしく。
「デル・ジェズ」っていうのは「イエスの」っていう意味があって、まあ詳しいことを知りたい方はWikipediaとかに行っていただければと思うんですが要は「ブンブン丸」とか「青い稲妻」とか(古いな)「ハンカチ王子」とか。いやいやなんかそういうのは苦手だって仰るなら「独眼竜」とか「クリミアの天使」とか、まあそういうやつだと思っていただければOK。
げえっ、グァルネリ・デル・ジェズって本名と違うんか!!違います。
また前置きが長くなりました。昨年イタリアのある屋根裏で見つかったヴァイオリンが、専門家たちの調査の結果グァルネリ一族の作品であることがわかった、という驚きのニュースでございます。すげえ!!瓢箪から駒や!めっちゃ気軽にWhatsApp(LINEみたいなチャットアプリ)で問い合わせが来たやつがモノホンやったんやぞ。
デル・ジェズのものではなくてそのお父さんの作品。「フィリウス・アンドレア」(アンドレアの息子)の異名をとるジュゼッペ・ジョヴァンニ・バティスタ・グァルネリのものであると確定したそうです。1705年頃の製作。名前のスペリングが間違っていたため(FiliusではなくFiluisとなっていた。・・・ってどんだけうっかりさんやねん)、偽物ではないかと思われたが慎重に調べた結果「本物」認定が出たということであります。しゅごい。
ちなみにフィリウス・アンドレアのヴァイオリンは2019年10月に落札された記録があり、お値段は65万4,237ドル(7,143万円ぐらい)だったそうです。まさか見つけたひとも屋根裏のガラクタに7,000万円前後の価値があるなんて思いもよらなかったでしょうなあ。ラベルの名前をググってみて「もしかしてこれすごい楽器なんとちゃうんか・・・ちゃうんか」と思いながらワクテカしてたとは思うんですけれど。
おめでとう!!ラッキー!!(ぜひ有効に活用して欲しい)