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暑い時にこそ、熱いお茶を!これが英国流

うだる様な暑さをwarmなんて言っちゃおれない!“heat wave”または“heat spell”、英国のお年を召された方なら「Indian Summerにやられてしまった」と言うところですが、ワンおばちゃんもとうとうダウン。横になりながら来週8月31日のサロンコンサートのお飲み物とおつまみに気を巡らす・・・・「今回は何をお出ししようかしら」。

今回の目玉はなんといっても紅茶。でも暑いのになぜ紅茶?英国では暑い時にも(もっともwarm程度の暑さですけれど)暖かい飲み物をいただくのが伝統です。アイスコーヒーやアイスティーなんていうものは、ここ2、30年のものです。

その昔、日本人がアイスドコーヒーと注文したらコールドコーヒー?と聞き返され、さらに出てきたのはギンギンに冷えたコーヒーではなく単なる冷めたコーヒーだったそうです。暑い時には暑い飲み物をと信じて疑わないイギリス人が多いのは、先ほどの冒頭に書いた“Indian Summer” で判るように、英国人のインド植民地統治の経験の結果である、と言われています。

昔は「紅茶はミルク」と相場が決まっており、レモンティーなんていうものはかったのです。レモンティーはわずかな金持ちのアメリカ人が泊まる高級ホテルでレモネード代わりに供される冷たいカリフォルニア風のアイスティーのみだったのです。ちなみに英国における夏の冷たい飲み物の代名詞はレモネード。便詰めの飲み物は「ライビーナ」と言う赤すぐりの飲み物でした(秋田の野葡萄みたいな味で美味しかった)。

今回8月31日のサロンコンサートでお出しするのは、アイルランドはベルファストの「あの」タイタニックの紅茶です。えっ?あのタイタニックの?・・・それって一等船客の?・・・残念!タイタニックはタイタニックでも、乗船客ではなく「トンカチ、トンカチ」お船を作った人達の飲んでいた紅茶なんです!

なぜその人達が飲んでいた紅茶だって判るんですか?お答えいたしましょう。タイタニックは今からちょうど110年ほど前の1909年にハーランド・ウルフ社のドックで建造されました。そのドックを見下ろす位置のご近所にThompsonという名の紅茶会社がありました。ここに造船所から紅茶の注文が来たのです。長時間の汗をかきながらの重労働の中でも一息つける美味しいstrong teaを3年分、という契約でした。

●いまでもあります、Thompson社
https://www.thompsonstea.com/

現会長のお爺さんが独立して間も無く立ち上げた紅茶会社トンプソン社のトンプソン氏。自分のブレンドルームの窓から見えるドックで働く2千人のため、特別ブレンドを作り上げ、自ら届けたのだそうです(一般立ち入り禁止であった為、ドックの敷地に入る事自体が特別であったとか)。

日々タイタニックの船体が形を成していくのを見ていて、まるで自分も船作りに参加しているような気になり、完成を誰よりも喜んだトンプソン氏でしたが、ご存知の通り、完成後すぐにベルファストからサザンプトンを経由し、ニューヨークに向かったタイタニックは悲劇を迎えることとなる。そのショックからだろうか、タイタニック紅茶は事故後即、製造中止になりました。

時は流れ、タイタニック100年を記念して、そのお孫さんのロス氏が、お爺さんのタイタニック紅茶のレシピを復活させたのでした。どのぐらい続けるかはわからないがなんとなく続けていると言うのですが、今のところは製造をつづけているそうだ。

今回のサロンコンサートでは、まずこちらの一番お高い「スーペリアーブレンド」のミルクティーをお試しいただきます。日本には輸入されていません!

ここまで来て、紅茶だイギリスだ、と言うので、さぞカップがどうのこうのと言うことになるのではないかと想像を膨らませる方もおいでかとは思いますが、、、、、。たこ焼きを輪島塗の八寸でいただかない様に、モチはモチヤと言いますか、トンカチトンカチ紅茶はマグカップでいただくと相場が決まっておりまして、そこからCUPPAと言う言葉が出てきたのです。(おいおい、話がどんどん飛んでってるよ・・・※天の声。うそ。今のはこの文章を日本酒片手に校正しているMR Yamaneの心の中の声です。)

ちなみにトンカチトンカチ紅茶と書いた、このようなまったりとしたミルクティーは「まったり」と言う意味でBUILDER’S STRENGTH 、転じてBUILDERS TEAと呼ばれ、MCSのMR Yamaneの大好きなアスクルではありませんが、イギリスの事業所用の大カタログには堂々とBUILDERS TEAと書かれるようにもなっております。これを見たときはなんだか嬉しくなってしまいましたね。

タイタニックの映画の乗組員たちの飲んでいる紅茶のシーンを思い出してくださいませ。白黒版もカラー版のいずれの映画でも、SOSの送信をする通信士の脇にはホワイトスターライン社のマグカップが写っております。なお白黒版の最後の画面でのほうに、沈没するタイタニックの電気を最後まで照らそうと格闘している甲板下の乗組員たちの脇には沢山のふぞろいのマグカップが無造作にトレイに並べられております。

このように、いつの時代も英国人はまずとにかく紅茶をいっぱい入れて、ときたものでした。少なくとも1980年代末まではシャンパンと紅茶と言うのが英国人の「常と晴れ」を象徴しているようでした。

長々と書きましたが、まずはこういうこと。お暑い時こそ熱い紅茶を!LETS BEAT THE HEAT WAVE WITH BUILDER’S TEA!!

●8月31日(土)に渋谷で開催!若手支援コンサート!