いやー、本日より待ちに待ったエリザベート国際コンクールのファイナルですよ。ブリュッセルは燃えているか。燃えています。
https://queenelisabethcompetition.be/
ボザール(ブリュッセルを代表するコンサートホールでこのコンクールのファイナルが開催されるところ)は今年本当に火事で燃えちゃったんですが、でもこうしてファイナルで同ホールが使用されるということは被害が軽微だったことがわかる。本当によかった。おれたちのボザール。
なおボザールとはフランス語で「美術」を意味する単語で、スペルはbeaux arts。これでボザールって読むんやから、フランス語は実にスペルの無駄遣いが多くていいよね。合理性とかガン無視。太陽王ルイ14世の頃からのお贅沢は、言語にまで深く深く染み付いているのだ!!パンがなかったらケーキを食べて!!!バーン!!!(適当に書いているので本気にしないで)。ただしこのホールはBOZAR、と特殊な書き方をします。
何度でもいいますがエリザベート国際は世界で最も重要なコンクールの一つです。今年、無観客とは言え無事に開催できているのは本当にご関係者皆様の並々ならぬ努力があったことでしょう。
通常ファイナル出場者は12名で、毎日2名ずつ演奏するのですが、今年はコロナなのでファイナリストは半分の6名。毎日1名が演奏する。本日から土曜日まで開催され、最終日の土曜日のうちに結果が出ます。ただし審査でもめると日付が変わることもあるよ。最初の人は不利だとか、最後の人は時間がたくさんあるから有利だとか思われるかも知れませんけど、後の人になればなるほど精神的な疲労が蓄積していきますし、どっちが有利とかは言えないと思うんですよ。
日本からもネットで中継を見ることができます。ベルギーの時刻で20時10分から放送開始なので日本時間は午前3時10分です。夜ふかしもしくは早起きしてどうぞ。
お約束のスケジュールと演奏曲目:
5/24(月) ヴィターリ・スタリコフ:チャイコフスキー1番
5/25(火) 阪田知樹:ブラームス2番
5/26(水) 務川慧悟:プロコフィエフ2番
5/27(木) セルゲイ・レーディキン:ラフマニノフ3番
5/28(金) ドミトリー・シン:ラフマニノフ3番
5/29(土) ジョナタン・フルネル:ブラームス2番
それにしても渋い大人向けのブラームス2番を2人演奏するというのはなかなかマチュアな感じ(印象には個人差があります)。
そしてエリザベート国際コンクールがほかのどのコンクールとも違うのは、セミファイナルからファイナルまで2週間の間が空く、ということ。これはこのコンクールのために書かれた新曲を2週間で準備して演奏するという課題があるからです。このためにコンテスタントは順々に世間と隔離され、スマホやパソコンなどを取り上げられ、インターネット環境から隔絶された状態で(すなわちレッスンやアドバイスなどを得ることなく)自分の力だけでその曲を準備するということになっているわけです。
今年の課題はブルーノ・マントヴァーニの新作《D’un jardin féérique》(妖精の園より)。この曲は、作曲者のコメントによりますとラヴェル作《マ・メール・ロワ》の終曲「妖精の園」にインスピレーションを受けた作品なのだ。つーわけでよい子の皆様は初日が始まる前にぜひ「妖精の園」を聴いて想像力をたくましくしてお待ち下さい:
全員が揃っている時に作曲者と話を出来る機会が一度だけ設けられるのですが、今年はコロナでリモートとなっております。これ↓
2019年と今年とでは全然違うで、って事務局のコメント。しゃーないしゃーない。条件はみな一緒。
かつてベネデッティ=ミケランジェリが1938年、このコンクールで上位に入賞できなかったのはミケランジェリが譜読み(初見)が苦手でこの新曲課題をうまくこなせなかったからだ、ともまことしやかに言われますが、本当かどうかは藪の中であります。
うっふっふ。事務局にスマホ67台取り上げられたけど最後の68台目は見つからなかった。うっふっふ・・・・勝ったわ(そんなやついるか)。