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今年11月の浜松国際ピアノコンクールは中止

浜松国際ピアノコンクールの国際的な存在感は高いと感じています。ヤマハとカワイという世界的に著名なピアノメーカー2社が本社を置くのが静岡県浜松市。ピアニストたちは、うなぎパイは知らなくてもヤマハは知っている。うなぎパイV.S.O.P.を知らずともカワイは弾いたことがある。うなぎパイの(しつこい)もとへ、ヤマハとカワイのお膝元で行われるピアノコンクール!と言われれば、なるほどぉっ!って言ってもらえると思うんですよ(実際そうだし)。

https://www.hipic.jp/

その上、世界でもっとも人気のあるワルシャワの「ショパン国際コンクール」の優勝者2人が、浜松国際ピアノコンクールで優勝、入賞(2009年第1位チョ・ソンジン、2003年第2位ラファウ・ブレハッチ)している。さらに言えばアレッシオ・バックス(1997年優勝)はリーズ国際でも優勝してますしセルゲイ・ババヤン(1991年優勝)は第一線で活躍するピアニストだけでなく、チャイコフスキー国際コンクールの覇者ダニール・トリフォノフを育てた超優秀な教師でもあります。

ね、こんだけ挙げたら「なかなか大変なことですやんこれは」って理解して頂けるでしょう。名前が多くてよくわからんなあって言われそうな気もしていてドキドキしてるんですが、とりあえず煮込みハンバーグでも作って気を落ち着けたいと思う。

今年の浜松国際ピアノコンクールは11月の開催を予定していましたが、残念ながら開催を断念したというのは昨日明らかになったところです。

クラシック音楽界のゴシッパー、英国人ノーマン・レブレヒトのブログで「ピアノコンクールは中止だがオリンピックはやるってよ」と日本が皮肉られてしまっていますが、それにしても今の日本で国際コンクールを開催するのはとても難しい。なぜか。海外からの来日が難しいからです。ビザがなかなか出ないからです。そしてもし出場者に14日の待機があったら経済的に無理ゲーだからです。

いまの世の中で何十人ものピアニストたちを一気に入国させるのが非常に難しいことはご想像頂けると思います。さらに14日待機も必要となればコスト的にも厳しい。仮にですよ、50人を14日間待機させるとなると、1泊1万円のホテルだったとして700万円余計にかかるわけです。

待機の間はピアノの練習どうするのか。待機中は部屋から一歩もでてはいけないという制約があるので、日本人に有利とならないよう(公平性を確保するため)、ピアノのある宿泊施設を準備するもしくはホテルにピアノを入れる必要がある。ピアノの移動って1台で1回につき10万円ぐらいかかるでしょうから、50台動かすとなると往復で1000万円ですか。大量発注で安くなったとしてもそこまで安くはならないのではないかと思いますし、ピアノの音があちこち部屋からのべつまくなしに出るとなると、他の宿泊客から苦情が出るのは間違いありませんので、そもそも宿泊施設をどこにするの的な調整も困難です。「1000万円?700万円?あっ、たったそんだけ?それなら誤差の範囲ね、屁のカッパ」って豪語できればいいんですが(無理)。

もちろん秋になったら状況は変わるかもしれない、という希望や期待はありますが、変わらないあるいは(考えたくはありませんが)より悪化する可能性もあるわけなので、かけた労力やお金、これからかかる労力やお金など、いろいろなリスクを天秤にかけた時に「中止」という判断をせざるを得なかったと思います。残念は残念ですが、コンクールの決定を支持いたします(だからと言って他のコンクールにも「やめたら」と言いたいわけではありませんので誤解なきよう。それぞれのコンクールにそれぞれの考えがあって、誰もがギリギリで動いているわけですから)。次回開催は2024年です。