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ヴァレンティン・シルヴェストロフ、避難先のベルリンでピアノ新作を作曲、録音

シルヴェストロフがニューヨーク・タイムズ紙の電話インタビューに答えている。キエフにしばらくとどまったが娘と孫娘の強い希望でベルリンに退避した。そのことについて自分自身に怒っている。またNATOがウクライナ上空に飛行禁止区域を設定することについて熱く語ったとあります。

https://www.nytimes.com/2022/03/30/arts/music/valentin-silvestrov-ukraine-war.html

キエフからリヴィウ(ポーランド国境近くの街)までバスで移動し、そこからポーランドを横断してベルリンへ。3日かけて移動した。遠回りをしたのは露によるビニツィアの爆撃のためで、キエフからリヴィウに行く途中保育園で一泊したのだという。

ドイツに到着した後、自発的に書かれたピアノ作品集が2曲あり、いずれにもエレジーと題されたものが含まれる。1つめは3月9日、ベルリンに着いた翌日に書かれた《3つの作品》

3つの作品 / Three pieces (2022.03.09)
I.セレナード / Serenade
II ワルツ / Waltz
III エレジー / Elegy

ウクライナからポーランドの国境を超えて移動している際に、難民の群れや、荷物を満載した車の列が延々と何キロも続くのを目にし、ウクライナの惨状を感じつつメロディーが生まれた。ウクライナの民族音楽や18世紀のアルテミー・ヴェーデリの合唱作品などを想起させる「ウクライナのしるし」とするため、簡潔なメロディーとバスラインで書かれた。

2つ目は3月16日作曲の《パストラーレとエレジー》。ウクライナの出来事を遠くベルリンから見聞きするうち、次第に落胆を深めつつ作曲されたもの。このエレジーはシャコンヌであり「悲しみの反応」とシルヴェストロフは表現。

《パストラールとエレジー》Pastoral and Elegy (2022.03.16)