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ヴァイオリンの指板の未来は黒くない

Photo: Wilhelm Geigenbau / The Strad

ヴァイオリンの指板(弦のしたにある黒い板)が黒いのは黒檀という木で作られているからですが、黒檀は成長に時間がかかり、しかも伐採したもののうち10本に1本しか十分な品質を持たないそうです。黒檀は安く、硬く、耐久性がある、という理由で使われていたようですが、黒檀が足りない!もしかすると絶滅するかもしれない!ということなんだそうです。

うむ、たしかに柔らかくて押さえたらぐにゃっとなっちゃうようですと仕事にならないぜ!

そんなこと知らなかったっす。世の中は知らないことだらけだ。そこで皆様知恵と技術を駆使して代替品の作成をしているそうであります。

見た目
感触
音質

これらの要求を満たすべく、物理的あるいは化学的な処理を施したテクニカルウッドなるものが開発されているのだ!

https://www.thestrad.com/lutherie/overcoming-our-addiction-to-tropical-hardwoods-the-latest-alternatives/9090.article

ある技術者たちは、木材を水+触媒に浸したあとに高温にさらすことで硬度を高めることが出来た。また他の者達は紙を圧縮して指板を作成した。

えっ!紙!それすぐに汗でふにゃふにゃになるやつや!!しかし私の想像力の及びもつかないような特殊な加工がされているのでしょう。そもそも紙だって木から作られるもんね。

そのようにして出来上がった指板は100%木材でなくとも、音は一緒だとのことであります。これによって黒檀に頼り切って黒檀が絶滅してしまうようなことはなくなる!持続可能性な未来の幕開けだ!!

なお個人的には持続可能性という言葉そのものに一抹の胡散臭さを感じぬわけでもございませんが、新しい技術を取り入れることはすごく面白いし大切なことだと思いますし、上のヴァイオリンの画像みたいに色がぜんぜんちがったりするっていうのが何より面白くっていいですよね。

なに?色が違う?音が悪いのでは?いやいや、そんなこたあねえんだよ!(安請負い)。

はい、ストラド誌にも「色を理由に真っ向から拒否する人が何人もいた」と書いてあります。でも「ストラディヴァリウスにつけてみて確信した」とあるので、おそらく音は変わらないんですよ、たぶん、きっと。ひょっとしたら(だんだん弱気になるやつ)。

新しく作られた高密度木材の指板は黒檀製よりも3倍以上高い70ポンド(約11,500円)ぐらいだそうですが、そもそも黒檀の値段もどんどん上昇しているし、高密度木材の需要が高まってうれるようになれば値段は下がっていくのでありましょう。

弦楽器奏者のみなさん、これからは白っぽい指板が大正解アイテム!ガンガン使っていこうぜ!