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ベヒシュタイン・ホールが、ロンドンに帰ってくる

日本人は「三大」という言葉が大好き。三大テノール、世界三大がっかり名所、三大宗教、三大悪妻・・・。なんやかんやいろいろあるよね。なんじゃそりゃ、というものもいっぱいありますよね。「世界三大ピアノメーカー」というのもあって、それが現実に即しているかどうかと言われると、わからない、ということになろうかとも思うんですが、いやね、いきなりですが三大メーカー、あんた言える?(乱暴な言葉づかいでごめん)。

そんな唐突な。一応・・・・

スタインウェイ&サンズ(ハンブルク、ニューヨーク)
ベーゼンドルファー(ウィーン)
ベヒシュタイン(ベルリン)

ということになっております。ヤマハ(日本)やカワイ(日本)は入らないのか。長江(香港)はどこだ。そんな声も聞こえてきそうですが、とりあえずそういうことになっているんで、そのうちまた変わるかも知れませんけれども、一応。

で、ベヒシュタインっていうと、音楽マニアの間では有名なロンドンの「ウィグモアホール」があります。

https://wigmore-hall.org.uk/

なんなのっていうと、ここは552席の室内楽ホールで、もうそれこそ世界屈指の室内楽ホールとしてずーっと君臨しているわけなんですが、ここはもともと1901年にベヒシュタインが作った「ベヒシュタイン・ホール」だったんです(上の写真)。イザイとブゾーニがオープニングシリーズに出演し、伝説の変人ウラディーミル・ド・パッハマンも演奏したというすげえ歴史を持つやつ。

パッハマンがブツブツ解説しながら演奏するショパンのエチュード《黒鍵》(いじくりあり)はこちら:

ゴドフスキー・ワズ・オウサム!!

ところがこのホール、第一次世界大戦中の1916年にドイツ=敵国のものとして接収されちまいまして、オークションで売却され、翌年ウィグモアホールと名前を変えて再出発したのであります。いまやウィグモアホールは一大ブランドでして、ガンガンすごいメンツが出ている世界屈指のホールであります。基本的に貸し館はしておらず(例外あり)、催し物はほぼ全部が主催公演です。しかも毎日複数の演奏会をするのが基本。

だがベヒシュタイン社がこのたびついに、動いた!!

これが言いたかったんすよ今日は。上の一文が書きたかったの。長々と書きましたが全部前フリです。ベヒシュタインがですね、ウィグモアホールのあるウィグモア通りに帰ってくるんですよ。ただしウィグモアホールを買い直したのではなく、新たにホールを建設するっちゅう話です。いろいろややこしくてすいません(私が謝る必要はないんですけれど)

https://www.rhinegold.co.uk/international_piano/c-bechstein-returns-to-londons-wigmore-street/

現在のウィグモアホールはウィグモア通り36番にあるんですが、建設中のベヒシュタイン・ホールはウィグモア通り22番やぞ。まじか。間近。しまったオヤジギャグが炸裂してしまった。

地図で見ますと、こうなっております。わずか徒歩1分。

こんな近くに作ってええんか。

2023年春に完成予定の新生ベヒシュタイン・ホールは100席になるそうで、ショールーム、練習室、24時間練習可能なアパートも建物の中に作られるそうです。「まったく異なる新しいアプローチ」のコンサートを提供すると言っている。いずれにせよウィグモアホールとは性格を別にするところとなるでしょう。

ベヒシュタイン、攻めてるな。打倒ウィグモアホール!!(仲良くして)