朝起きたらニュースを目にしました。リン・ハレルが死去。1944年生まれ、76歳だったそうです。若い。
訃報はご本人のFacebookページ、ご家族による投稿で明らかになったものだそうです。
We have lost a wonderful father, husband , mensch. All four of Lynn’s children, his sister, friends and I mourn him along with those who were lucky enough to know his music, his wit and his humanity. You were an end of an era, Dear Lynn, and will be missed more than you will ever know. We love you to the moon and back. Rest in Peace, dear one, you have earned it.
Lynn Harrell January 30,1944 – April 27,2020
素晴らしい父、夫、人格者を失いました。4人の子どもたち、姉(妹?)、友人、そして私は、彼の音楽、ウィット、暖かな人間性を知っている幸せな人々と共に追悼したい。一つの時代が終わりました。私達はみな、あなたが思っているよりも遥かに寂しく思うことでしょう。深く深く愛しています。安らかに眠ってください。休んでください。
リン・ハレル 1944年1月30日-2020年4月27日
https://www.facebook.com/Lynnharrellfanpage/posts/3113884585329810
アメリカのラジオ局、ヴァイオリンチャンネル、グラモフォン誌なども一斉に訃報を掲載しています。死因は明らかにされていません。
ついに一度も演奏を聴くことができませんでした。残念です。高校生の頃は、CDのジャケットでよくお目にかかりました。アシュケナージ、パールマンと組んだトリオとかです。若い頃のマッシュルームみたいな頭のCDとか、一生懸命聴いたよな・・・。遠い目。
この業界に入ってからは、日本に呼べないかな、、、、と空想したことも何度かありました。しかし、まあ無理だろうな、と深く考えもせずにあきらめておりました。
以下は余談です。業界の人なら常識として知っているのですが、チェリストを日本に呼ぶのは待ったなしで、例外なく非常にお金がかかります。なぜなら本人の隣の座席にチェロを置くからです。つまり1人を呼ぶのに2名分の航空運賃がかかるのです。倍です。ソリストとして世界で活躍するチェロ奏者が持ち歩く楽器はあまりにも高価なため、チェックインラゲッジとすることが出来ません。「チェロ席」とみな呼んでいます。
リン・ハレルでしたらフライトは必ずビジネスクラスでしょうから、ビジネスクラス料金が2名分かかる。ニューヨークから東京までのビジネスクラスが1枚50万円だとしたら、約100万円になるわけです。CBBGって書く座席があって(CBBGについてより詳しく知りたい方はググってください。)、厳密に言うとこの席はほんの少しだけ人間が座るより安いんですが、せいぜい数10ドル安い程度です。なお、本人はビジネス、チェロだけエコノミー席でっていう裏技は出来ませんので、本人がビジネスクラスならチェロもビジネスクラスです。ご飯は出ません(リクエストしたら出てくるかもしれないけど)。
リン・ハレルに限らず、チェロ奏者を日本に呼ぶのは金銭面な意味でも非常に難しいのです。そもそもの需要がピアノやヴァイオリンほどにはない、という現実もあるのですが、上記理由もあります。
ご冥福をお祈りします。