ロシアの「野獣系」ピアニスト、デニス・マツーエフが始めたモスクワのコンクール、グランド・ピアノ・コンペティションは16歳までという年齢制限からも分かる通り、いわゆる通常のコンクールよりもさらに若者向け。いいね、若いね、ヒューヒュー!
コンクールの名前にありますとおり、グランプリ受賞者にはヤマハのグランドピアノC3Xがプレゼントされます。253万円もする楽器やぞ!!なお世の中の多くのコンクールとは違い順位はつきません。また全員がソロと協奏曲を演奏できる。つまり一次で落ちたのシクシクという悲劇はもうここにはない!!バーン!!賞金もユニークで、得点が高い順に5000ドルが5名に与えられる。その次の10人には1000ドルが、そして入賞者の先生にも1000ドルが与えられるとあるから、先生、頑張っちゃうナ(お前誰だ)。
それに加えて入賞者はなんとゲルギエフやマツーエフ、スピヴァコフやバシュメットなんかと共演出来る、という素晴らしいチャンスを与えられる。コンクールという「点」ではなく、プロフェッショナルコンサート活動という「線」でのチャンスが与えられるというのは、一発勝負という不公平からもフリーだね。
このコンクールにはもう一つ特徴がありまして、公式サイトがあるんですがなくて(どっちやねん)、いや、あるんですけどサーバー代払ってないのか知らんけど「アクセスできない」という極めてロシア的、鷹揚たる大陸的な広大な精神で運営されているんですよ。第一回目のときはウェブサイトが見られたんですけど、記憶が確かなら文字だけのサイトで、参加要項のpdfが一つ置いてあるだけ、とかそういうものすごいレベルでした。むしろmedici.tvの中にある特設ページが公式サイトみたいなもんですよ。これ。
https://www.medici.tv/en/grand-piano-competition
まてまて、いま調べたらマツーエフコンペティションドットコム(カナで書くな)っていうサイトがあったわ。これっすね。あーよかった。これで安心して眠れる。
https://matsuevcompetition.com/
審査員はパレチニ、ペトルシャンスキー、ピアセツキー、オフチニコフ、P.ネルセシアン、エスカンド。簡単に言うと有名な先生方です(簡単すぎる)。
2016年に第一回が開催されグランプリはマロフェーエフ、2018年の第二回はドヴガンが勝利、そして2020年はパンデミックにつき2021年に延期されましたが17歳になっちゃった子ももちろん参加OK。というわけで、このたび無事に閉幕したそうです。
グランプリ受賞者は・・・
Pyotr Akulov/ピョートル・アクーロフ(14さい、ロシア)
Sergei Davydchenko/セルゲイ・ダヴィチェンコ(16さい、ロシア)
この2名!!おめでとうおめでとう!!・・・・ん?楽器はどうなんの。二人にあげるのか。それともはんぶんずっこなのか。
演奏の動画(抜粋)はYouTubeでどうぞ。
ピョートルはリストの1番:
セルゲイはチャイコフスキーの1番:
14歳でなんなのうちの14歳なんてまだ掛け算の九九も怪しいのに、と嘆くお茶の間のため息が聞こえて来るようだ。
入賞者の皆様の今後のご成長とご活躍に期待いたします。